2017年5月29日月曜日

【157冊目】Arthur Conan Doyle, Sherlock Holmes and the Mystery of Boscombe Pool (PR Level 3)

やさしい英語の本、通算157冊目は、
ペンギン・リーダーズのレベル3(1200語レベルの)の21冊目として、

イギリスの小説家
アーサー・コナン・ドイル
(Arthur Conan Doyle, 1859年5月-1930年7月)の短編小説
「シャーロック・ホームズとボスコム谷の謎
  Sherlock Holmos and the Mystery of Boscombe Pool 
を読みました。

ドイル32歳の時に「ボスコム谷の謎 The Mystery of Boscombe Poolの原題で、月刊誌『ストランド・マガジン The Strand Magazine1891年10月号に掲載された後、最初の短編集『シャーロック・ホームズの冒険 The Adventures of Sherlock Holmes1892年10月刊行)に収録された作品です。


Sir Arthur Conan Doyle
Sherlock Holmes and the Mystery of Boscombe Pool

Retold by J.Y.K.Kerr
〔Penguin Readers Level 3〕
This adaptaiton first published by Penguin Books Ltd 1991
New edition first published 1999
This edition first published 2008
8,714語

久しぶりのホームズ、
これは初めて読む作品でした。

中学生の頃から
度々思い出したように読んで来ていますが、
そこまでのめり込んでもいないので、
まだ読んでない作品がたくさん残っています。

やさしくしてありますが、
推理小説ならではの謎解きを楽しみながら、
読み進めることができました。

当たり前のように感じていますが、
一定以上のレベルを備えた推理小説を、
60も書き継いでいくのは並大抵の筆力ではないなと、
ふと思い立ちました。


変な読み間違いをしないように、
翻訳も近くに置いておきました。

ホームズの翻訳は、いろいろ手に取った上で、
今は日暮雅通(ひぐらしまさみち)氏の2種の翻訳を気に入り、
どちらかを紐解くことが多いです。


日暮まさみち訳
「ボスコム谷のなぞ」
『名探偵ホームズ消えた花むこ』
(講談社青い鳥文庫、2011年2月)所収。


日暮雅通(ひぐらしまさみち)訳
「ボスコム谷の謎」
『シャーロック・ホームズの冒険』
(光文社文庫〔新訳シャーロック・ホームズ全集〕2006年1月)所収。

「日暮雅通」の筆名のほうが大人向けの完訳で、
「まさみち」の筆名のほうが子供向けの編訳になっています。

ただし、
編訳版でも大きな省略が行われているわけではなく、
文章の構成も完訳版とほとんど変わりがないので、

読みやすさを重視される場合は、
「日暮まさみち」訳のほうをお薦めします。

※第157冊目。総計1,478,102語。

2017年5月23日火曜日

【読了】佐々木克著『幕末史』(ちくま新書、2014年刊行)

佐々木克(ささきすぐる 1940年11月-2016年7月)氏による
概説『幕末史』(ちくま新書)を読みました。

本書は佐々木氏が74歳の時(2014年11月)に出版されました

佐々木氏については、裏表紙に
「1940年秋田県生まれ。1970年立教大学大学院文学研究科博士課程終了。京都大学教授、奈良大学教授を経て、現在京都大学名誉教授、京都大学博士(文学)。歴史学者、専門は明治維新史。」とありました。


佐々木克著
『幕末史』
(ちくま新書、2014年11月)

専門の研究者による
長年の研究成果をもとに書き下ろされた
手堅い通史で、興味深く最後まで読み進めることができました。

章立ては次の通りです。

 第1章 屈辱の出発 1853-1859
 第2章 尊王攘夷運動 1860-1863
 第3章 遠のく挙国一致 1863-1865
 第4章 日本を立ち直らせるために 1865-1866
 第5章 新政府の創設 1866-1867
 第6章 明治国家の課題 1868-1890

一素人に過ぎないので、
何も詳しい話はできませんが、

複雑に入り組んで今一つ掴みどころがなかった
「幕末史」の流れを、これまでより有機的に
つながりを持って理解することができました。

歴史はあまり抽象的に短くされても、
ただただ細かく長大にされても扱いに困るものです。

高校レベルの近代史の流れが
身についている人向けの記述なので、
歴史の苦手な方が、初めの入門書として読むには難しいように思いますが、

個人的には、
これくらいの分量でまとめてもらえると、
一分野の歴史として把握しやすいように感じました。

次は同じ「ちくま新書」から、
坂野潤治著『日本近代史』を読む予定です。

2017年5月16日火曜日

【156冊目】William MakepeaceThackeray, Vanity Fair (PR Level 3)

やさしい英語の本、通算156冊目は、
ペンギン・リーダーズのレベル3(1200語レベルの)の20冊目として、

インド出身のイギリスの小説家
ウィリアム・メイクピース・サッカレー
(William Makepeace Thackeray, 1811年7月-1863年12月)の
小説『虚栄の市 Vanity Fair を読みました。

サッカレー35歳から37歳の時、
1847年1月から翌年7月にかけて毎月分冊にて発表された小説です。


William Makepeace Thackeray
Vanity Fair

Retold by Pauline Francis
〔Penguin Readers Level 3〕
First published by Penguin Books 2000
This edition published 2008
23,566語

サッカレーの名のみどこかで聞いたことがありましたが、
作品を読んだことは一度もありませんでした。

ディケンズと同時代の作家による代表作ということで、
取り寄せて読んでみました。

『虚栄の市』という古めかしいタイトルに、
堅めの真面目なお話かと思っていたら、

全体的に軽めの筆致で、
したたかに貪欲に生きていく女性の姿を描いていて、
かの『風と共に去りぬ』を多少俗っぽくしたような印象が残る、
読み応えのある小説でした。

やさしい英語で読むと、
長い原作をかなり圧縮しているからか、
初めて読むには、却ってわかりにくいところがありました。

それでも手短にあらすじを知ることができるので、
作品の魅力に触れるのに役立つ1冊だと思いました。


  ***

翻訳は次の3点が見つかりました。

平田禿木(ひらたとくぼく)訳
『虚栄の市 (上・下)』
(国民文庫刊行会〔泰西名著文庫〕1914年6月・15年4月◇792・738頁)
 ※下巻の本文738頁に「とりあつめて」(20頁)「サッカレ書史」(11頁)が続く。

三宅幾三郎(みやけいくさぶろう)訳
『虚栄の市(一~六)』
(岩波文庫〔1-3〕1939年2・4・7月◇275・285・210頁。
     〔4-6〕1940年1・4・7月◇204・190・181頁)

 ※『虚栄の市(上・下)』
   (河出書房〔世界文学全集[第1期]第39・40〕1951年◇354・353頁)
 ※『虚栄の市』
   (河出書房新社〔世界文学全集[第3期]第7〕1957年◇486頁)


中島賢二(なかじまけんじ)訳
『虚栄の市(一~四)』
(岩波文庫〔1-2〕2003年9・11月◇434・447頁、
     〔3-4〕2004年1・3月◇446・381頁)

最近のものとしては中島訳があるのみですが、
購入してざっと目を通した限りでは、
十分読める訳文に仕上がっているように感じました。

それでも文庫4冊は多いので、
今後時間が取れそうな時に読んでみようと思います。

1998年にイギリスで製作されたBBCドラマが
DVDで手に入るようなので、
まずはこちらを観るのが一番かもしれません。


監督:マルク・マルデン(Marc Munden)
脚本:アンドリュー・デイビス(Andrew Davies)
主演:ナターシャ・リトル(Natasha Little)、
   フランシス・グレー(Frances Grey)
   フィリップ・グレニスター(Philip Glenister)

322分の大作なので、
こちらもまた時間のある時に。


※第156冊目。総計1,469,388語。

2017年5月3日水曜日

ジェフレイ・チョーサー著『カンタベリー物語』翻訳目録(抄)

ジェフレイ・チョーサー著『カンタベリー物語』翻訳目録(抄)

◎金子健二(かねこけんじ)訳
 『カンタベリ物語』
 (東亜堂書房、1917年12月◇816頁)
  ⇒◎『カンタベリ物語(上・下)』
    (国際文献刊行会〔世界奇書異聞類聚1・2〕1926年2・4月
     ◇500・260頁)


◯亘理俊雄(わたりとしお)訳註
 『カンタベリー物語 ―序歌』
 (尚文堂、1934年◇132頁)


◯金子健二編訳 
 『カンタベリ物語』
 (ふもと社、1948年◇259頁)
  ※「序の歌」「粉屋のおぢさん物語」「会計吏物語」
   「水夫物語」「温泉町バスのあばずれ女房物語」「托鉢僧物語」
   「召喚吏物語」「地主物語」「商人物語」の9話を収録。

  ⇒◯『カンタベリー物語』
    (角川文庫、1973年1月◇203頁)
     ※「序の歌」「粉屋の物語」「家扶の物語」
       「船乗り物語」「バースの女房の物語」「托鉢僧の物語」
       「送達吏の物語」「郷士の物語」「商人の物語」の9話を収録。

 ★構成をみる限り、1973年刊行の「角川文庫」版は、
  1948年刊行の「ふもと社」版をもとに編集されたはずであるが、
  題名だけをみても、様々な改訂が加えられている。
  金子氏は1961年に亡くなっているので、
  1973年刊行の「角川文庫」編集の経緯には不明な所がある


◯小林智賀平(こばやしちかひら)編訳
 『カンタベリー物語』
 (コギト社、1948年◇164頁)


◯吉田新吾訳(よしだしんご)編訳
 『キャンタベリー物語』
 (創元社、1948年◇304頁)
  ※「序歌」「騎士の物語」「粉屋の物語」「家扶の物語」
   「修道尼院長の物語」「修道尼附僧侶の物語」
   「免罪僧の物語」「バースの女房の物語」の8話を収録。


◎西脇順三郎(にしわきじゅんざぶろう)訳
 『カンタベリ物語(上・中)』
 (東西出版社〔もだん・らいぶらりい〕1949年◇397・257頁、未完)

  ⇒◎『カンタベリ物語』
    (河出書房〔世界文学全集[第2期]7 〕1951年12月◇424頁)
  ⇒◯「カンタベリ物語」
    (筑摩書房〔世界文学大系8〕1961年◇174頁〔5-178〕※計395頁)
  ⇒◎「カンタベリ物語」
    (筑摩書房〔筑摩世界文学大系12〕1972年11月◇*頁〔-〕計496頁)
  ⇒◎『カンタベリ物語』
    (筑摩書房〔近代世界文学1〕1974年10月◇*頁〔-〕計485頁 )

  ⇒◎『カンタベリ物語(上・下)』
    (ちくま文庫、1987年4・5月◇433・435頁)


◯御輿員三(おごしかずそう)訳解
 『二十六の群像 :キャンタベリー物語序歌訳解』
 (南雲堂、1959年◇145頁)


◯神戸海星女子学院大学編
 『総序の詩 :チョーサーのカンタベリー物語』
 (中央出版社、1981年3月◇227頁)※対訳


◯神戸海星女子学院大学編
 『騎士の物語 :チョーサーのカンタベリー物語』
 (中央出版社、1983年3月◇390頁)※対訳


◯桝井迪夫(ますいみちお)訳
 『カンタベリー物語(上)』
 (岩波文庫、1973年11月◇345頁。未完)

 ⇒◎『完訳 カンタベリー物語(上・中・下)』
   (岩波文庫、1995年1月◇350・472・326頁)


◯繁尾久(しげおひさし)編訳
 『カンタベリ物語 選』
 (荒地出版社、1985年3月◇275頁)
  ※9話を収録。



◯武居正太郎(たけすえまさたろう)編訳
 『カンタベリ物語選訳集』
 (泉屋書店、2000年6月)
  ※「総序」「粉屋の物語」「家扶の物語」「船長の物語」
   「尼僧付き僧の物語」「免償説教師の物語」「バースの女房の物語」
   「托鉢僧の物語」「貿易商人の物語」の9話を収録。



◎笹本長敬(ささもとひさゆき)訳
 『カンタベリー物語』
 (英宝社、2002年6月◇677頁)


※インターネット上に公開されている玉井美枝子(たまいみえこ)著「本邦初訳の『カンタベリ物語』」(『英学史研究』第18号、1986年)も参照。