2017年3月27日月曜日

【153冊目】John Wood, Leaving Microsoft to Change the World (PR Level 3)

やさしい英語の本、通算153冊目は、
ペンギン・リーダーズのレベル3(1200語レベルの)の17冊目として、

1999年12月に設立されたNPO
「ルーム・トゥ・リード(Room to Read)の創設者
ジョン・ウッド(Jhon Wood, 1964- )氏が、

42歳の時(2006)に刊行された著書
『世界を変えるためにマイクロソフトを辞めた
  Leaving Microsoft to Change the World 』
を読みました。


John Wood
Leaving Microsoft to Change the World

Retold by Chris Rice
〔Penguin Readers Level 3〕
This edition first published by Pearson Education Ltd 2011
14,017語

本書は、原著刊行の翌年、
矢羽野薫(やはのかおる)氏による日本語訳が刊行されていますが、
今回やさしい英語版を手にするまで、まったく知りませんでした。


ジョン・ウッド著/矢羽野薫訳
『マイクロソフトでは出会えなかった天職 ―僕はこうして社会起業家になった』
(ランダムハウス講談社、2007年9月)
 ※ダイヤモンド社(2013年4月)より再刊。

ジョン・ウッド氏は、
アメリカ合衆国イリノイ州にある名門私立大学
ノースウェスタン大学のケロッグ経営大学院でMBA(経営学修士)を取得後、
数年の銀行勤務をへて、マイクロソフト社に入社。
30代前半で国際部門の要職につき、オーストラリアと中国に赴任。

大中華圏の事業開発担当の重役を務めていた時に、

途上国の子供に生涯の教育という贈り物を届け、
貧困のサイクルを断ち切りたい、

という強い思いのもと、マイクロソフト社を辞めて、
1999年末にNPO「ルーム・トゥ・リード」を設立された方だそうです。
(以上、カバー扉の「著者紹介」を参照)

学業を修め、
将来有望な企業に就職した有能な人物が、

それまでに築き上げた地位と名誉を捨てて、
まったく新しい世界を切り開き、
一定の成功を収めていく過程を描いた物語です。

実際に、
彼の思いに多く企業や個人が共鳴し、
行動に移せるだけのお金が集まり、

ネパール、ベトナム、カンボジアなど途上国の子供たちに、
たくさんの本を贈り、図書館や学校を建て、
女子への奨学金を給付していくなど、
教育の面で目を見張る成果を上げられているわけなので、

ウッド氏が何を考え、
どのように行動し、結果を出して来たのか、
とても興味がわきました。

やさしい英語版でも十分魅力は伝わりますが、
より詳しく知りたいこともたくさん出て来たので、
全訳のほうを手に入れ、読んでみようと思います。

彼がどのようにお金を集め、
莫大な資金を管理していたのか。

非営利団体とはいえ、
一定の報酬を得ないことには生活できないはずなのですが、
正当な報酬の額とは何を基準に決められるのか。

NPOについて、どちらかといえば
政治的に偏向している団体が多いイメージがあって、
あまり興味がなかったのですが、

それこそ偏向した見方でもあるので、
まずはきちんと調べて、現状を把握してみようと思いました。


※第153冊目。総計1,412,726語。


2017年3月20日月曜日

M・K・ローリングス著『子鹿物語』翻訳目録(抄)

M・K・ローリングス著『子鹿物語』翻訳目録(抄)

〔凡例〕
 ・1949年6月に日本公開された映画『子鹿物語』が画期になっているので、
  その前後で大きく2つに分けた上で、後半を10年毎に細分した。

 ・完訳か抄訳か翻案かの判断は、主観の入る余地があるので、
  一応の目安として頁数の規模によって3つに分類した。
   ◎…400頁以上/◯…200頁以上400頁未満/◇…200頁未満

 ・Amazon日本の古本屋国立国会図書館CiNii の4つの検索を
  主に使用し、安価なものは自費で購入した。現在、大学図書館等で
  調査を行う時間的な余裕がないので、直接確認できていない資料が多い。
  確認次第、適宜修正を加えていく予定である。


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【1】映画『子鹿物語』日本公開(1949年6月)以前の翻訳(抄)

 ◎加藤賢蔵(かとうけんぞう)訳
  『イアリング』
   (青年書房、1939年8月10日◆642頁)☆購入済。

 ◎大久保康雄(おおくぼやすお)訳
  『一歳仔(イヤリング)』
   (三笠書房、1939年8月25日◆491頁)☆購入済。
   ※『イヤリング(1・2)』
     (日比谷出版社、1949年9月◆281・328頁)
   ※『仔鹿物語』
     (三笠書房〔百万人の世界文学1〕1953年◆351頁)
   ※『仔鹿物語(上・下)』
     (角川文庫、1954年◆313・301頁)
   ※『子鹿物語』
     (平凡社〔世界名作全集32〕1960年12月◆588頁)
   ※『子じか物語』
     (小学館〔少年少女世界名作文学全集45〕1964年◆315頁)
   ※「子じか物語」
     (小学館〔少年少女世界の名作文学17 アメリカ編8〕1967年
       ◆103-284頁〔計182頁〕)
   ※『子鹿物語(上・中・下)』
     (偕成社文庫、1983年11月◆319・280・294頁)☆購入済。

 ◎新居格(にいいたる)訳
  『イアリング』
   (四元社、1939年9月◎580頁)
   ※『イアリング 決定版』
     (洛陽書院、1941月7月◆580頁)☆購入済。

  〔決定版の刊行年月について〕
   国立国会図書館の検索には1940年(昭和15年)7月の刊行とあり、
   決定版の前書き「改版に際して」にも「昭和十五年六月」の日付があるが、
   決定版の巻末には「昭和十六年七月十二日発行」とある。
   原稿が完成してから、発行まで1年かかるとは考えにくいが、
   十五年を十六年とミスするとも考えにくい。
   ここでは私が所有している版に従い、1941年(昭和16年)7月の発行とした。

 ◯上田總(うえださとし)訳
  『名作物語 イアリング〔一年仔〕』
   (明窓社、1939年11月◆338頁)☆購入済。

 ◎山屋三郎(やまやさぶろう)訳
  『イアリング(上・下)』
   (新潮文庫、1940年5・6月◆計666頁)☆購入済。
   ※『仔鹿物語 ― イアリング(上・下)』
     (新潮文庫、1951年◆297・369頁)
   ※「仔鹿物語」
     (荒地出版社〔現代アメリカ文学全集11〕1958年3月
      ◆3-358頁〔計355頁〕)

 ◯鮎沢浩(あゆざわひろし)訳
  『森の仔鹿』
   (大道書房、1940年12月◆229頁)

 ◇鮎沢浩(あゆざわひろし)訳
  『仔鹿物語』
   (内田書店〔少年少女世界名作選3〕1946年9月◆69頁)

 ◯南郷太郎(なんごうたろう)訳
  /池内岳彦(いけうちたけひこ)絵
  『仔鹿と少年』
  (大雅堂、1949年4月◆206頁)

 ◇赤坂一郎(あかさかいちろう)訳
  『子鹿物語』
   (国際出版社〔アメリカ映画シナリオ・シリーズ16〕1949年6月◆20頁)


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【2】映画『子鹿物語』日本公開(1949年6月)以後の翻訳(抄)

〔a〕1960年まで

 ◇吉田甲子太郎(よしだきねたろう)文
  /小磯良平(こいそりょうへい)絵
  『仔鹿物語 ―イアリング』
   (新潮社〔世界の絵本16〕1951年12月◆80頁)

 ◇大木惇夫(おおきあつお)文
  /川本哲夫(かわもとてつお)絵
  『子鹿ものがたり ―イヤ・リング』
   (日本書房〔世界童話文庫〕1952年◆64頁)

 ◯那須辰造(なすたつぞう)訳
  /谷俊彦(たにとしひこ)絵
  『子じか物語』
   (講談社〔世界名作全集63〕1953年◆352頁)
   ※石田武雄(いしだたけお)絵
    『子じか物語』
     (講談社〔世界名作全集22〕1966年9月◆272頁)

 ◯吉田甲子太郎(よしだきねたろう)訳
  「子じか物語」
   (創元社〔世界少年少女文学全集10、アメリカ編4〕1954年2月
    ◆7-152頁〔計146頁〕)

 ◯小出正吾(こいでしょうご)訳
  /松田文雄(まつだふみお)絵
  『子じか物語』
   (偕成社〔児童名作全集17〕1956年◆214頁)

 ◇白木茂(しらきしげる)訳
  /谷俊彦(たにとしひこ)絵
  『子じか物語』
   (講談社の絵本167、1956年◆44頁)

 ◯村岡花子(むらおかはなこ)訳
  『子じか物語』
   (日本書房〔小学文庫3・4年〕1958年◆234頁)

 ◯富沢有為男(とみさわういお)訳
  『子鹿物語』
   (偕成社〔児童世界文学全集5〕1960年10月◆370頁)

 ◯吉田甲子太郎(よしだきねたろう)訳
  /野々口重(ののぐちしげる)絵
  『子じか物語』
   (東京創元社〔世界少年少女文学全集13〕1960年◆244頁)

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〔b〕1961から1970年まで

 ◇安藤一郎(あんどういちろう)訳
  「子じか物語」
   (講談社〔少年少女世界文学全集15、アメリカ編5〕1961年11月
    ◆9-150頁〔計142頁〕)

 ◯岡上鈴江(おかのうえすずえ)訳
  /山中冬児(やまなかふゆじ)絵
  『子鹿物語』
   (岩崎書店〔世界少女名作全集30〕1964年◆224頁)

 ◇阿部知二(あべともじ)訳
  「子ジカ物語」
   (講談社〔少年少女新世界文学全集11,アメリカ古典編4〕1965年7月
    ◆181-320頁〔計140頁〕)

 ◎繁尾久(しげおひさし)訳
  『子鹿物語(上・下)』
   (旺文社文庫、1968年8月◆320・340頁)
   ※『子鹿物語』
     (講談社文庫、1983年3月◆312・316頁)☆購入済。

 ◯杉木喬(すぎきたかし)訳
  『子鹿物語』
   (ポプラ社〔世界の名著36〕1969年3月◆334頁)

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〔c〕1971から1980年まで

 ◇小林純一(こばやしじゅんいちろう)文
  /柏村由利子(かしむらゆりこ)絵
  『子鹿物語』
   (世界文化社〔世界の名作12〕1972年5月◆83頁)
   ※『子鹿物語』
     (世界文化社〔世界の名作11〕2001年7月◆83頁)

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〔d〕1981年から1990年まで

 ◯阿部知二(あべともじ)訳
  /かみやしん絵
  『子鹿物語』
   (講談社青い鳥文庫、1984年2月◆277頁)☆購入済。

 ◯永井萌二(ながいほうじ)訳
  『子鹿物語』
   (ぎょうせい〔少年少女世界名作全集23〕1983年5月◆204頁)
   ※『子鹿物語』
     (ぎょうせい〔新装 少年少女世界名作全集23〕1995年2月◆204頁)

 ◇まだらめ三保(みほ)文
  /村井香葉(むらいかよ)絵
  『子鹿物語』
   (ポプラ社〔こども世界名作童話35〕1989年1月◆141頁)

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〔d〕1981年から1990年まで
〔e〕1991年から2000年まで
〔f〕2001年から2010年まで

 ◎土屋京子(つちやきょうこ)訳
  『鹿と少年(上・下)』
   (光文社古典新訳文庫、2008年4月◆420・434頁)☆購入済。
   ※『仔鹿物語(上・下)』
     (光文社古典新訳文庫、2012年11月◆同じ頁数)

2017年3月13日月曜日

【152冊目】Erich Kästner, Emil and the Detectives (PR Level 3)

やさしい英語の本、通算152冊目は、
ペンギン・リーダーズのレベル3(1200語レベルの)の16冊目として、

ドイツの作家
エーリッヒ・ケストナー
(Erich Kästner, 1899年2月23日-1974年7月29日)の
小説『エーミールと探偵たち』を読みました。

著者29歳の時(1928年)に刊行された作品です
ケストナーがたくさんの児童文学を執筆する最初のきっかけになった作品です。


Erich Kästner
Emil and the Detectives

Retold by Rod Smith
〔Penguin Readers Level 3〕
First Published by Penguin Books 2000
This edition published 2008
13,158語

ケストナーは『飛ぶ教室』の書名のみ知っていましたが、
若い頃には読む機会がありませんでした。

たまに手に取ってはいたのですが、
独特の長い前書きに違和感があって、
本文に至る前に読むのを止めていました。

今回初めてのケストナー体験になりました。

実際に読んでみると、
子供時代を懐かしむような楽しいお話で、
ふつうに面白く読み進めることができました。

時空を飛びこえたり、
動物が話し出したりすることはなく、
あくまで常識の範囲内ではありますが、
もし実際にこんなことが起こったら素敵だろうな、と思える、
子供時代のささやかな夢がかなうような物語でした。

誰しもが経験してきた子供時代を扱って、
飽きさせずに面白く読み進められる物語を書き上げる才能は、
ケストナー独特のものなのだろうと思います。


  ***

翻訳を調べてみると、
次の3点が見つかりました。



池田香代子訳
『エーミールと探偵たち』
(岩波少年文庫、2000年6月)


高橋健二訳
『エーミールと探偵たち』
(岩波書店〔ケストナー少年文学全集1〕1962年7月)

小松太郎訳
『エミールと探偵たち』
(岩波少年文庫、1953年9月)

はじめに池田訳を手に入れたのですが、
今風にやさしく砕けすぎた印象で、あまり馴染めませんでした。

そこで高橋訳を手に入れてみると、
少し堅めではありますが、
一昔前の格調高い感じがよく出た訳文だったので、
とても気に入りました。

小松訳は未見です。

ヘッセの翻訳で知られる
高橋健二訳でほかの作品も読めるようなので、
時間を見つけて、少しずつ読み進めたいと思います。


※第152冊目。総計1,398,709語。