2017年2月27日月曜日

【151冊目】Marjorie Kinnan Rawlings, The Yearling (PR Level 3)

やさしい英語の本、通算151冊目は、
ペンギン・リーダーズのレベル3(1200語レベルの)の15冊目として、

アメリカの作家
マージョリー・キナン・ローリングズ
(Marjorie Kinnan Rawlings, 1896年8月8日-1953年12月14日)の
小説『子鹿物語』を読みました。

著者41歳の時(1938年3月)に刊行された作品です


Marjorie Kinnan Rawlings
The Yearling

Retold by Coleen Degnan-Veness
〔Penguin Readers Level 3〕
Published by Penguin Books 2001
10,870語

これも本当は、
ペンギン・アクティブ・リーディングのレベル3
(1200語レベル)で読む予定だったのですが、



ペンギン・アクティブ・リーディングのシリーズが
一時的に購入できなくなっているので、

ペンギン・リーディングにさかのぼって、
購入し読んでみることにしました。


  ***

『子鹿物語』は子どものころに、
ちゃんと読んだ記憶がありません。

それでもおぼろげながらあらすじを知っているのは、

小学生のころに、
1983年11月から85年1月にかけてNHK総合テレビで放映された
アニメ『子鹿物語 The Yearling(全52話)の影響だと思います。

全編しっかり観た記憶はなく、
むしろほとんど忘れていたのですが、
今回とある動画サイトで視聴できた
オープニングとエンディングの音楽をよく覚えていました。

アニメ版は現在、著作権の問題があるのか、
DVDなどで簡単に購入できる状態にはないようです。

映像で観るなら、
ふつうは実写版の映画のほうでしょうか。

1938年3月の原著刊行後間もなく、
クラレンス・ブラウン(Clarence Brown, 1890-1987)監督
のもとで映画化され(1946年12月に米国公開)、日本でも
1949年6月に『子鹿物語』というタイトルで公開されています。



アニメ版以上に名前はよく知っていましたが、
観たことがなかったので最近購入しました。

ただ映画を観るまでもなく、
やさしい英語のほうを読み終わってしまったので、
今後の楽しみに取ってあります。


  ***

翻訳は調べ出したら意外にたくさんあったので、
まとまり次第、ブログにアップします。

とりあえず、はじめに購入した3点を掲げておきます。

最新の翻訳は、2008年に刊行された
光文社古典新訳文庫の土屋京子(つちやきょうこ)訳です。



土屋京子訳
『鹿と少年(上・下)』
(光文社古典新訳文庫、2008年4月◇420・434頁)
 ※のちに『仔鹿物語』と改題して再刊(2012年11月)。

読みやすい訳文に仕上がっているはずですが、
想像していたより荒々しい硬派な所のある小説で、
少々とっつきにくい印象もありました。

他の翻訳ならどうかと思って、
偕成社文庫の大久保康雄(おおくぼやすお)訳を手に入れてみました。



大久保康雄訳
『子鹿物語(上・中・下)』
(偕成社文庫、1983年11月◇319・280・294頁)

『風と共に去りぬ』の名訳で知られる
大久保氏の翻訳ならと期待していたのですが、
読んでみると幾分古めかしい印象があって、
必ずしも読みやすい訳文とは言えませんでした。

偕成社文庫は1983年の刊行ですが、調べてみると、
大久保訳の初出は原著刊行後間もなくの1939年のことでした。
ほかにも度々再刊されているので、
気が付いた範囲で大久保訳を掲げておきます。

『一歳仔(イヤリング)』(三笠書房、1939年8月◇491頁)
『イヤリング(1・2)』(日比谷出版社、1949年9月◇281・328頁)
『仔鹿物語』(三笠書房〔百万人の世界文学1〕1953年◇351頁)
『仔鹿物語(上・下)』(角川文庫、1954年◇313・301頁)
『子鹿物語』(平凡社〔世界名作全集32〕1960年12月◇588頁)
『子じか物語』(小学館〔少年少女世界名作文学全集45〕1964年◇315頁)

もう一人、
講談社文庫の繁尾久(しげおひさし)訳も手に入れました。

繁尾久訳
『子鹿物語(上・下)』
(講談社文庫、1983年3月◇312・316頁)
 ※初出は旺文社文庫(1968年8月◇320・340頁)

大久保訳よりもこなれた印象はありますが、
やはり原文の難解さゆえか、特別読みやすい訳文とは言えないように思いました。

1968年の繁雄訳から2008年の土屋訳まで、
完訳は40年余り出ていなかったようです。

原著には独特の読みにくさがあるようなので、
必ずしも完訳にこだわる必要はないようにも思いますが、
完訳なら最新の土屋訳を選ぶのがベストということになるでしょう。

  ***

やさしい英語では、
映画のあらすじをたどるような印象で、
あっさりと読み終わることができました。

しかし話の筋そのものが興味深く、
クライマックスの強烈な印象とともに、
大きく心を揺さぶられました。

個人的には、母親の描き方が一貫して厳しく、
冷酷に感じられるところがあまり好きにはなれないのですが、
今後改めて、しっくりと読み返したい1冊になりました。


※第151冊目。総計1,385,551語。

2017年2月20日月曜日

【読了】ジョージ・エリオット著(新川和江再話)『サイラス・マーナー』(1968年刊行)

イギリスの小説家
ジョージ・エリオット
(George Eliot, 1819年11月22日-80年12月22日)の
小説『サイラス・マーナー』を、

詩人新川和江(しんかわかずえ, 1929年4月22日- )氏による
子供向けの編訳で読みました。

1955年11月に刊行された
工藤好美(くどうよしみ, 1898-1992)・
淀川郁子(よどかわいくこ, 1904-? )両氏による
完訳をもとに再話されたものです。


工藤好美・淀川郁子訳
新川和江文
「サイラス=マーナー」
(小学館〔少年少女世界の名作文学5 イギリス編3〕1968年5月)
 ※小学館〔少年少女世界の名作文学3 イギリス編3-4〕1977年5月に再録。

『サイラス・マーナー』は、ジョージ・エリオットが
41歳の時(1860年11月-61年3月)に執筆された作品です

男性の筆名(ジョージ)を名乗っていますが、女性です。


新川和江氏による再話は、
小学生でも十分読める文章で、
わずか70頁ほど(279-350頁)にまとめてあるので、
手っ取り早くあらすじを知りたい時には最適です。

ただし、
さすがにこれだけでは物足りない感じもあって、
もう少し詳しいもので読み直したくなりました。

完訳版としては、
新川氏の再話のもとになった
工藤好美・淀川郁子両氏による共訳がありますが、
こちらはまだ手に入れていません。


工藤好美・淀川郁子共訳
「サイラス・マーナー」
(河出書房〔世界文学全集 第2期6〕1955年11月)
 ※河出書房新社〔世界文学全集22 特製豪華版〕1961年11月に再録。
 ※文泉堂出版〔ジョージ・エリオット著作集2〕1994年8月に再録。

完訳版は先に、
土井治(どいおさむ)氏の岩波文庫を手に入れました。


土井治訳
『サイラス・マーナー(上・下)』
(岩波文庫、1952年6・7年。改版1巻本、1988年8月)

土井訳は決して読めない文章ではないのですが、
完訳ゆえか多少まどろっこしい感じの文章が続くので、
飽きずに最後まで読み進めるのは難しそうです。


他にないか探してみたところ、

1952年(昭和27年)に講談社から、
世界名作全集の1冊として刊行された
吉田絃二郎(よしだげんじろう)氏の翻訳が見つかりました。

吉田絃二郎訳
『サイラス・マーナー』
(大日本雄弁会講談社〔世界名作全集43〕1952年10月)

こちらは1952年4月の独立回復後すぐの刊行だからか、
紙質が良くないのが難点ですが、

誰にでも読みやすい文章で、
ほどほどの分量(本文320頁)にまとめてあり、
しかも総ルビで、ていねいに作り上げられた1冊でした。

次は吉田訳で読んでみようと思っています。


肝心の感想を書いていません。
ごく保守的な価値観を是とする立場から書かれた小説で、
物語の展開の仕方にも予定調和的なところがあるのですが、
話そのものがおもしろく、話の中身で勝負するタイプの作品であるように感じました。

ブロンテ姉妹のような天才的な感性の冴えがある訳でもなく、
ディケンズのような社会派の視点がある訳でもないので、
今あまり読まれていないのもわかるのですが、

一般的な常識の枠組みにおさまりながら、
飽きさせない魅力のある物語を展開するのは、
実力のある作家なればこそだと思うので、
今後注目して読んでいきたい作家の一人になりました。

2017年2月14日火曜日

【150冊目】George Eliot, Silas Marner (PR Level 3)

やさしい英語の本、通算150冊目は、
ペンギン・リーダーズのレベル3(1200語レベルの)の14冊目として、

イギリスの小説家
ジョージ・エリオット
(George Eliot, 1819年11月22日-80年12月22日)の
小説『サイラス・マーナー』を読みました。

男性の筆名(ジョージ)を用いていますが、女性です。
著者41歳の時(1860年11月-61年3月)に執筆された作品です


George Eliot
Silas Marner

Retold by A.J. Brayley
〔Penguin Readers Level 3〕
First published in the Longman Structural Readers Series 1968
This edition copyright (c)Penguin Books Ltd 1999
19,630語

これも本当は、
ペンギン・アクティブ・リーディングのレベル3
(1200語レベル)で読む予定だったのですが、


ペンギン・アクティブ・リーディングのシリーズが
現在、一時的に購入できない状態が続いているので、

ペンギン・リーディングのシリーズにさかのぼって、
購入し読んでみることにしました。


  ***

翻訳は次のようなものが見つかりました。
(CiNii と Amazon の検索による。未見のものを含む。)

①今泉浦治郎(いまいずみうらじろう)訳
 『Silas Marner』
 (警醒社書店、1923年5月)

②土井治(どいおさむ)訳
 『サイラス・マーナー(上・下)』
 (岩波文庫、1952年6・7年。改版1巻本、1988年8月)☆改版を購入済。

③工藤好美(くどうよしみ)・淀川郁子(よどがわいくこ)訳
 「サイラス・マーナー」
 (河出書房〔世界文学全集 第2期6〕1955年11月)
  ※河出書房新社〔世界文学全集22 特製豪華版〕1961年11月に再録。
  ※文泉堂出版〔ジョージ・エリオット著作集2〕1994年8月に再録。

④工藤好美・淀川郁子訳
 新川和江(しんかわかずえ)文
 「サイラス=マーナー」
 (小学館〔少年少女世界の名作文学5 イギリス編3〕1968年5月)☆購入済。
  ※小学館〔少年少女世界の名作文学3 イギリス編3-4〕1977年5月に再録。

⑤吉田絃二郎(よしだげんじろう)訳
 『サイラス・マーナー』
 (大日本雄弁会講談社〔世界名作全集43〕1957年6月)

②と④を購入しました。

②岩波文庫の土井治訳は、
改版のものを手に入れました。

読んで読めないことはないのですが、
多少回りくどく、65年前の古さを感じました。

エリオットの作品自体、
冗長でまわりくどいところがあるので、

読ませる力のある訳文でないと、
全訳で読破するのは辛いように思いました。

④は、新川和江氏による編訳ですが、
工藤好美・淀川郁子両氏の共訳(③)をもとに、
全体をわずか70頁ほどで(279-350頁)わかりやすくまとめてありました。

全体のあらすじを知るには一番ですが、
さすがに手短過ぎるようにも感じました。

そのほか2011年12月から
『ジョージ・エリオット全集』(彩流社)が刊行中であり、
現在、全10巻(12冊)のうち5冊目まで刊行されています。
『サイラス・マーナー』は当初、4回目の配本予定(第4巻)でしたが、未刊。


  ***

全訳で読もうとすると、
文章の一つ一つがまわりくどく冗長な感じがあって、
良い作品なのか判断に困るところがあったのですが、

やさしい英語で読むと、
元々のストーリーそのものは面白く、

次の展開を期待しながら、
最後まで楽しみつつ読み終えることができました。

特に小説の中間部、
主人公サイラスが赤ん坊と偶然出会ったあたりからの記述は、
女性ならではの暖かなぬくもりのある視点に貫かれていて、
読んでいて新鮮な感動に誘われました。

伝統的な価値観を否定するような作品ではないので、
現代的な流行からは外れているのかもしれませんが、

誰もがよくわかるテーマを用い、
読ませる作品を書くことは、
実力のある作家なればこそだと思うので、
エリオットのほかの作品もぜひ読んでみたくなりました。


※第150冊目。総計1,374,681語。

2017年2月6日月曜日

【読了】C.S..ルイス著〔土屋京子訳〕『ナルニア国物語② ライオンと魔女と衣装だんす』

北アイルランド生まれの小説家
クライブ・ステープルス・ルイス
(Clive Staples Lewis, 1898年11月29日生-1963年11月22日没)
の小説『ライオンと魔女と衣装だんす
    The Lion, the Witch and the Wardrobeを読みました。

全7巻からなる『ナルニア国物語』の1冊で、
著者51歳の時(1950年10月)に刊行されました

シリーズの最初に刊行された作品ですが、
物語の時系列に並べなおすと、2番目のお話になります。


土屋京子訳
『ナルニア国物語② ライオンと魔女と衣装だんす』
(光文社古典新訳文庫、2016年12月)

  ***

岩波少年文庫の瀬田訳と、
光文社古典新訳文庫の土屋訳との関係を、
はじめに整理しておきます。

◎瀬田貞二(せたていじ, 1916.4-1979.8)訳
ナルニア国ものがたり(瀬田訳)
 1『ライオンと魔女』
  (1950年10月英国、同年11月米国)⇒1966年5月刊行
 2『カスピアン王子のつのぶえ』
  (1951年10月英国、52年9月米国)⇒1966年7月刊行
 3『朝びらき丸 東の海へ』
  (1952年9月英国・米国)⇒1966年8月刊行
 4『銀のいす』
  (1953年9月英国、10月米国)⇒1966年10月刊行
 5『馬と少年』
  (1954年9月英国、10月米国)⇒1966年11月刊行
 6『魔術師のおい』
  (1955年5月英国、10月米国)⇒1966年9月刊行
 7『さいごの戦い』
  (1956年3月英国、9月米国)⇒1966年12月刊行

◎土屋京子(つちやきょうこ, 1956- )訳
ナルニア国物語(土屋訳)
 1『魔術師のおい』
  (1955年5月英国、10月米国)⇒2016年9月刊行
 2『ライオンと魔女と衣装だんす』
  (1950年10月英国、同年11月米国)⇒2016年12月刊行
 3『馬と少年』
  (1954年9月英国、10月米国)⇒2017年3月刊行予定。
 4『カスピアン王子』
  (1951年10月英国、52年9月米国)⇒※2017年6月刊行予定。
 5『ドーン・トレッダー号の航海』
  (1952年9月英国・米国)⇒※2017年9月刊行予定。
 6『銀の椅子』
  (1953年9月英国、10月米国)⇒※2017年12月刊行予定。
 7『最後の戦い』
  (1956年3月英国、9月米国)⇒※2018年3月刊行予定。


  ***

12月の刊行に合わせて購入しましたが、
仕事が忙しく、読む暇がありませんでした。

2月に入って、少し時間が出来たので、
空き時間を見つけて一週間ほどで読み終えました。

著者にとって
シリーズの一番初めに刊行された作品だからか、
手探りで書き進めている感じが伝わってきましたが、

それで魅力が減ったというよりは、
かえって新鮮な心持ちで全体を読み進めることができました。

子供向けの程々のファンタジー、
穏当な冒険小説として読むのなら、
十分成功していると感じました。

ただし、
大人向けの何か深いものを期待すると、

恋愛や結婚、
生死や暴力に関わる残酷な場面、
過度な貧困に苦労する場面など、
子供向けの小説としてふさわしくない要素は除いてあるので、
若干の物足りなさが残るかもしれません。

これまであまりファンタジーを読んで来なかった
40半ばの男性が読んでもそれなりに楽しめる内容でしたが、

やはり小中学生の時に出会えていたら、
いっそう楽しめただろうとは思いました。

そこまでのめり込んでいるわけではありませんが、
すんなり読み進められていることも確かなので、
間もなく刊行予定の3冊目『馬と少年』に期待したいです。