2017年1月13日金曜日

【148冊目】John Steinbeck, The Pearl (PAR Level 3)

やさしい英語の本、通算148冊目は、
ペンギン・アクティブ・リーディングのレベル3(1200語レベル)の6冊目として、

アメリカの小説家
ジョン・スタインベック
(John Steinbeck, 1902年2月27日-68年12月20日)の
中編小説『真珠』を読みました。

筆者43歳の時(1945年12月)に発表された作品です


John Steinbeck
The Pearl

〔Penguin Active Reading Level 4〕
This edition published 2007
13,824語

スタインベックは
食わず嫌いで暗く厳しいイメージが先行し、
まともに読んだことがなかったのですが、

年末に、
偶然『エデンの東』のDVDを観る機会があり、
その意外な面白さに惹きつけられました。

それからすぐに原作の翻訳を手に入れたのですが、
映画とはだいぶ印象が違っていたので、
読むのを止めて本棚に積んである状態です。

ですから小説としては、
この『真珠』が初スタインベックになります。

これは1940年の春に
メキシコ北西部にあるカリフォルニア湾で、
友人の海洋学者と行った調査旅行のときに、
ラパス(現在のメキシコ合衆国バハ・カリフォルニア・スル州の州都)
で聞いた話に基づく寓話風の小説です。

1944年11月から翌2月にかけて執筆され、
1945年12月に「The Pearl of the World 」の原題で、
月刊誌上に発表されました

その後1947年に単行本で刊行する際に、
『The Pearl 』と改題されたそうです。

※以上の書誌は、ジョン・スタインベック著/中山喜満訳『真珠』の訳者解説119-121頁を参照。


   ***

読後感。

ありがちな教訓的なお話なので、
途中で退屈してもおかしくなかったのですが、

情景描写にすぐれ、
それにともなう登場人物の心の動きが的確に伝わって来て、
飽きる間もなく最後まで読み進めることができました。

寓話ですが、
子供向けのハッピーエンドに終わる甘いお話ではなく、
人生の不条理な側面を厳しく描いてある、
ピリリと引き締まった大人の寓話でした。

読んで明るくなるお話ではないので、
あまり好きとは言えないのですが、

スタインベックの筆致には、
粘質的な暗さでまとわりついて来るような所はなく、
カラッとした怒りがまっすぐに伝わって来るので、
ほかの作品も読んでみたいと思いました。


   ***

翻訳は、18年ほど前の
中山喜満(なかやまよしみつ)氏によるものを
手に入れてみました。


中山喜満訳
『真珠』
(大阪教育図書、1999年1月)

原著を読むのに役立ちそうな、
非常に丁寧な訳文なのですが、

日本語らしいリズムに乏しく、
読んでいて、物凄くたいくつなお話に思えてきたので、
読むのを止めてしまいました。

そこでもう1冊、
大門一男(おおかどかずお)氏の翻訳を手に入れました。


大門一男訳
『真珠』
(角川文庫、1957年8月)

こちらは文学作品としての薫りを感じる訳文なので、
読むなら大門訳を選ぶべきなのですが、
今から60年前の訳業なので、それなりに古さを感じることも確かです。

そろそろどこかから、
瑞々しい言葉でつづる
新訳が出てくれないかしらと、
密かに期待しています。

※第148冊目。総計1,335,276語。


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