2016年5月31日火曜日

【読了】足沢良子著『世界の伝記25 チャーチル』

翻訳家、児童文学家
足沢良子(たるさわよしこ 1927.10- )氏による

イギリスの政治家、軍人、作家
ウィンストン・チャーチル(Winston Churchill 1874.11-1965.1)の
子供向けの伝記を読みました。


足沢良子著
『世界の伝記25 チャーチル』
(㈱ぎょうせい、1981年5月。新装版、1995年2月)

チャーチルのわかりやすい伝記はないかなと探しているうちに、
児童向けのわかりやすい1冊を見つけました。

イギリス国民であれば
誰でも知っているであろう事柄を、
わかりやすくまとめてあって、
チャーチルについて何も知らない私でも、
滞りなく読み進めることができました。

足沢氏のチャーチルへの深い愛情も感じられる1冊であり、
彼のことをより深く学びたくなりました。

小学校5、6年位から読めるように書かれていますが、
ルビをあまり付していないので、
読書好きの中学生向けかもしれません。

次に、
大人向けの入門書としてどれを読もうか迷っていたところ、

中川八洋氏の2016年5月30日付のブログで、
「チャーチル入門書として推薦できる一冊」として、
外交官の冨田浩司(とみたこうじ)氏によるものを挙げていたので、
次にこちらを読んでみようと思っています。


冨田浩司著
『危機の指導者 チャーチル』
(新潮選書、2011年9月)

2016年5月29日日曜日

【133冊】Kenneth Grahame, The Wind in the Willows (PR Level 2)

やさしい英語の本、通算133冊目は、
ペンギン・リーダーズのレベル2(600語レベル)の21冊目として、

スコットランド生まれの小説家
ケネス・グレアム(1859.3-1932.7)の
小説『たのしい川べ(The Wind in the Willows ) 』を読みました。

著者が49歳の時(1908.10)に出版された作品です


Kenneth Grahame
The Wind in the Willows

Retold by Anne Collins
First published by Penguin Books 2000
This edition published 2008
8,004語

昨年秋(2015.10)に、
オックスフォード・ブックワームズのステージ3(1000語レベル)
で読んで以来、2度目の『たのしい川べ』です。

たくさんの小動物が棲みつく川辺での、
のんびりした田舎の生活を基調とながら、
せっかちで新しい物好きのヒキガエルが
面白おかしく周りを引っ掻き回す、
子ども向けの楽しい軽めのお話です。

もとは父から息子(Alastair)に向けて語られた
即興のお話にもとづいているので、
意外なところに話が飛んだりして
まとまりの悪さも感じるのですが、

それを補って余りある、
詩情豊かでのどかな感性に惹きつけられました。

今回はいやにすらすら読めるなと思ったら、
ペンギンリーダーズのレベル3(1200語レベル)ではなく、
1つ前のレベル2(600語レベル)でした。

日本語の小説を読むのとあまり変わりなく、
簡単に読み進めることができました。


   ***

翻訳は、
岩波少年文庫の石井桃子(いしいももこやく)訳と、
講談社青い鳥文庫の岡本浜江(おかもとはまえ)訳の
2つありますが、どちらも少しずつ私の理想から離れている気がして、

手元に置いてはみたものの、
途中で違和感を感じてまだ読み終えていません。
少し時間を置いてから、また読んでみたいと思います。

中野好夫(なかのよしお)訳
『たのしい川邊』
(白林小年館出版部、1940年11月)


石井桃子(いしいももこ)訳
「ひきがえるの冒険」
(『世界少年少女文学全集 第2部2 イギリス篇2』創元社、1956年12月)
 ※再刊『たのしい川べ ―ヒキガエルの冒険―』(岩波書店、1963年11月。改版、2006年7月)。
 ※再刊『たのしい川べ』(岩波少年文庫創刊40年記念 特装版、1990年9月。新版、2002年7月)。
 ※再刊『たのしい川べ』(岩波世界児童文学集、1994年4月。新装版、2003年5月)

神戸淳吉(かんべじゅんきち)文
『ひきがえるの冒険物語』
(講談社のマザー絵本、1964年5月)

岡松きぬ子(おかもつきぬこ)訳
『やなぎに吹く風 ―ヒキガエルの冒険―』
(大日本図書、1991年10月)※しかけえほん。


岡本浜江(おかもとはまえ)訳
『川べにそよ風』
(講談社、1992年6月)
 ※再刊『河べにそよ風』(講談社青い鳥文庫、1993年5月)。

父親がわが子に伝えたお話なので、
どなたか男性の翻訳者による新訳も読んでみたいところです。


※第133冊目。総計1,140,757語。

2016年5月15日日曜日

【132冊目】Johann Wyss, The Swiss Family Robinson (PR Level 3)

やさしい英語の本、通算132冊目は、
ペンギン・リーダーズのレベル3(1200語レベル)の3冊目として、

スイスの牧師
ヨハン・ダヴィッド・ウィース
(Johann David Wyss 1743.5-1818.1)の小説
『スイスのロビンソン The Swiss Family Robinsonを読みました。
原著はドイツ語( Der Schweizerische Robinson )です。

イギリスの小説家
ダニエル・デフォー
(Daniel Defoe 1600-1731.4)の有名な小説
『ロビンソン・クルーソー Robinson Crusoe(1719)
を下敷きにした物語としてよく知られています。


Johann Wyss
The Swiss Family Robinson

Retold by Madeleine du Vivier
〔Penguin Readers Level 3〕
First published by Penguin Books 2000
This edition published 2008
13,480語

『スイスのロビンソン』は
著者ヨハン・ダヴィッド・ウィースが、
51-55歳の頃(1794-98)に
自分の子供たちに読み聞かせるために執筆されたもので、
元々は出版を意図していませんでした。

著者69歳の時(1812年)に、
息子の一人ヨハン・ルドルフ・ウィース
(Johann Rudolf Wyss 1782.3-1830.3)が、
父の原稿を編集して出版したのが本書の第1・2巻です。

著者の没後(1818)8年を過ぎた
1826年に第3巻、翌27年に第4巻が、
ルドルフの編集で出版されました。

編者ルドルフの立場からみると、
12-16歳の頃(1794-98)に父から聞いたお話を、
 30歳の時(1812)に第1・2巻、
 44歳の時(1826)に第3巻、
 45歳の時(1827)に第4巻
として編集し出版したことになります。


 ***

本書については、
子どものころ(1981年1-12月)に、
フジテレビ系列の《世界名作劇場》でみた
『家族ロビンソン漂流記 ふしぎな島のフローネ』
の原作であることを知ったのが最初でした。

 ※草原ゆうみ編
  『世界名作劇場3 家族ロビンソン漂流記 ふしぎな島のフローネ』
  (竹書房文庫、2004年3月)を参照。アニメのノベライズ版。

デフォーの『ロビンソン漂流記』が大好きだったので、
『スイスのロビンソン』も探してみたのですが、
その当時は見つけることができませんでした。

今回やさしい英語で読んでみると、
アニメとは随分違っているのですが、

それなりに似たところもあって、
昔を思い出しつつ、楽しみながら読み進めることができました。

単語はとくに苦労しなかったのですが、
縄ばしごの作り方とか、テントの張り方とか、
様々な場面を具体的に説明するところが、
英語では意味を取りづらくもありました。

それでも眺めているうちに理解できるレベルなので、
ちょうどよい英文読解の練習になりました。


  ***

翻訳は調べてみると、
意外にたくさんありました。

清水暉吉(しみずてるきち)訳
『家族ロビンソン』
(東京朝日新聞社、1940年)
 ※『少年少女世界名作文学全集53』(小学館、1962年10月)に再録。

宇多五郎(うだごろう)訳
『スイスのロビンソン(上・下)』
(岩波文庫、1950-51年)

阿部知二(あべともじ)訳
『家族ロビンソン』
(大日本雄弁会講談社、1952年11月)

白井健三郎(しらいけんざぶろう)訳
「スイスのロビンソン」
(創元社〔世界少年少女文学全集 第2部10 諸国編1〕1957年11月所収)

塩谷太郎(しおやたろう)訳
「スイスのロビンソン」
(講談社〔少年少女世界文学全集24 ドイツ編第7巻〕1959年1月所収)
 ※『少年少女世界名作文学全集10』(講談社、1966年9月)に再録。
 ※『家族ロビンソン漂流記』(少年少女講談社文庫、1981年3月)に再録。

小川超(おがわちょう)訳
『スイスのロビンソン』
(学習研究社〔学研世界名作シリーズ16〕1976年)

1976年の小川超(おがわちょう)訳以来、
もう40年は新訳が出ていません。

古書で高値のついているものも多いので、
そろそろ新訳がほしい時期かもしれません。

個人的には、
まず塩谷太郎(しおやたろう)訳を手に入れました。
今でも十分読めるこなれた訳文で、
ふつうに楽しめましたが、

父親のベッドタイム・ストーリーらしく、
『ロビンソン漂流記』以上に、
嘘っぽく感じる記述がところどころ出て来るので、

大人になって初めて読む場合は、
そこまで感動しないかもしれません。

最近、
岩波文庫の宇多五郎(うだごろう)訳を手に入れてみたところ、
漢字は舊字體ですが、現代仮名遣いで非常に読みやすい訳文に仕上がっていました。

大人向けの完訳としては、
宇多訳で読んだほうが味わい深いかもしれません。


※第132冊目。総計1,132,753語。

※Wikipediaの「ヨハン・ダビット・ウィース」「スイスのロビンソン」の各項目を参照。