2016年12月26日月曜日

【147冊目】David Maule, The Romans (PAR Level 3)

やさしい英語の本、通算147冊目は、
ペンギン・アクティブ・リーディングのレベル3(1200語レベル)の5冊目として、

英語学習者向けに
やさしい英語の本を書き下ろされている
デビッド・マウル氏による
古代ローマ帝国の入門書『ローマ人 The Romansを読みました。


David Maule
The Romans

〔Penguin Active Reading Level 3〕
This edition first published by Pearson Education Ltd 2007
14,265語


半分まで読んで中断している
塩野七生氏の大長編『ローマ人の物語』を再開する前に、
古代ローマ史の概要を知っておきたいと思い、
入門書をいろいろ読み進めているのですが、

やさしい英語でも古代ローマ史について読めることを知り、
読んでみることにしました。

しかし、
国名や地名、人名などの固有名詞について
まだほとんど頭に入っていない状態では、

楽々読み進めるというわけにはいかず、
わからない名前や地名をインターネットで調べながら読み進めました。

恐らく、
ローマ史について多少かじったことがある方なら、
楽に読み進められるレベルだと思いますが、
ほぼ初心者の私には、インターネッの助けが必要でした。


日本語による参考書としては、最近、
本村凌二(もとむらりょうじ)氏による入門書を読み終えました。


本村凌二著
『一冊でまるごとわかるローマ帝国』
(だいわ文庫、2016年7月)

とりあえず1冊、
達成感を味わうのにはもってこいでしたが、
今回のやさしい英語の本を読むのには、あまり役立ちませんでした。

もう少しいろいろ読んだ上で、
より手ごろな1冊があれば改めて紹介したいと思います。


※第147冊目。総計1,321,452語。

2016年12月19日月曜日

【読了】本村凌二著『一冊でまるごとわかるローマ帝国』

もうすぐ、
やさしい英語で古代ローマ史についての概説を読む予定があるので、
東京大学名誉教授の本村凌二(もとむらりょうじ, 1947.5- )氏による入門書を読みました。


本村凌二著
『一冊でまるごとわかるローマ帝国』
(大和書房〔だいわ文庫〕2016年7月)

ローマ史については、
塩野七生氏の『ローマ人の物語』を文庫版で半分ほど読み進めていました。

塩野氏の著書は、
初心者でも違和感なく読めるものだったのですが、
やはり全体的なことを知ってからの方がよくわかると思い、
一般向けのやさしめの概説を探していました。

高校の世界史で習うのより多少詳しいレベルで
政治史中心にわかりやすくまとめてあったので、
1週間くらい(1日30分ほど)で難なく読み終わりました。

本村氏は通史を得意とされているようで、
調べてみると一般向けの書物がほかにも見つかりました。

祥伝社新書の2冊は、
ローマ史について次に読むのに一番良さそうです。


本村凌二著
『はじめて読む人のローマ史1200年』
(祥伝社新書、2014年6月)

本村凌二著
『ローマ帝国 人物列伝』
(祥伝社新書、2016年4月)


さらにローマ史から視野を広げて、
『古代地中海世界の歴史』という面白そうなタイトルの1冊も見つけました。


本村凌二・中村るい共著
『古代地中海世界の歴史』
(ちくま学芸文庫、2012年11月)
 ※初出は放送大学教育振興会、2004年3月。

もとは放送大学のテキストのようですが、
先にこちらを読んでおいた方が、ローマ史の理解が一層深まるように思いました。

ローマ史について、本村凌二氏の著作群に注目していきたいと思います。

2016年12月12日月曜日

【146冊目】Agatha Christie, And Then There Were None (PAR Level 3)

やさしい英語の本、通算146冊目は、
ペンギン・アクティブ・リーディングのレベル3(1200語レベル)の4冊目として、

イギリスの推理作家
アガサ・クリスティ(Agatha Christie, 1890.9-1976.1)の
推理小説『そして誰もいなくなった』を読みました。

著者49歳の時(1939.11)に刊行された作品です


Agatha Christie
And Then There Were None

Retold by Izabella Hearn
〔Penguin Active Reading Level 3〕
This edition first published by Pearson Education Ltd 2011
18,683語

2年半以上前(2014年4月)に
オックスフォード・ブックワームのステージ2(700語レベル)で、

イギリスの推理作家アガサ・クリスティ(1890-1976)の評伝を読んだのを受けて、
どれか代表的な推理小説を読んでおこうと思いました。

今回の1冊は、それから間もなく手に入れてあったのですが、
想像していたよりも難しかったので、もう少し実力がつくまで部屋に積んでありました。


やっぱり翻訳を読んでおいたほうが良いように思い、
青木久恵(あおきひさえ)氏の翻訳を手に入れて読んでみたのですが、

これまで私が読んできた
シャーロック・ホームズなどの推理小説とはずいぶん雰囲気が違い、

10人もの人物がてんでバラバラに登場して、
始めのうちは一見無関係なお話が展開していくだけなので、
いったい何が面白いのだろうと思って読むのを止めてしまいました。


青木久恵(あおきひさえ)訳
『そして誰もいなくなった』
(ハヤカワ文庫〔クリスティー文庫80〕2010年11月)

その後、
フランスの映画監督ルネ・クレール(1898.11-1981.3)によって製作され、
1945年10月にアメリカで初公開された映画版をDVDで観て、
ようやくどういう作品なのか理解できました。

想像していたよりも、
ずっと作為的というか、
トリックそのもので勝負していて、
二重三重の謎かけを知的に楽しむ作品であることがわかりました。




その上で、
前出の青木訳のジュニア版が出ているのに気がついて、
手に入れて読んでみたところ、今度は
独特のトリックを楽しみながら最後まで読み終えることができました。


青木久恵(あおきひさえ)訳
『そして誰もいなくなった』
(早川書房〔クリスティー・ジュニア・ミステリ1〕2007年12月)

ここまで来た上で、
改めてやさしい英語版を読んだので、
特に混乱することもなく、
再読の機会を楽しむことができました。

一回読めば十分というよりは、
読むほどに新しい発見のある凄い作品であることはわかってきました。

正直なところ、
この作品が好きかといわれると、
ここまで作り込んだトリック一辺倒の作品は、
それほど好きとはいえません。

でもまだ私がその魅力を誤解している可能性も高いので、
もう少し時間を置いてから再読したいと思います。


※第146冊目。総計1,307,187語。

2016年12月5日月曜日

【読了】アガサ・クリスティ著(青木久恵訳)『そして誰もいなくなった』(ジュニア版)

青木久恵(あおきひさえ, 1943.9- )氏の翻訳で、

イギリスの推理作家
アガサ・クリスティ(Agatha Christie, 1890.9-1976.1)の
推理小説『そして誰もいなくなった』を読みました。

著者49歳の時(1939.11)に刊行された作品です


青木久恵(あおきひさえ)訳
『そして誰もいなくなった』
(早川書房〔クリスティー・ジュニア・ミステリ1〕2007年12月)


2年半以上前(2014年4月)に
オックスフォード・ブックワームのステージ2(700語レベル)で、
イギリスの推理作家アガサ・クリスティ(1890-1976)の評伝を読みました。

肝心の推理小説の方はまったく読んでいなかったのですが、
評伝の方はとても興味深く読み通すことができたので、
この機会にどれか代表的な作品を読んでおこうと思い、
青木久恵氏の翻訳による『そして誰もいなくなった』を手に取りました。


青木久恵(あおきひさえ)訳
『そして誰もいなくなった』
(ハヤカワ文庫〔クリスティー文庫80〕2010年11月)

しかしクリスティーの推理小説は、
これまで私が読んできたシャーロック・ホームズなどとは
ずいぶん雰囲気が違っていて、

10人もの人物がてんでバラバラに登場して、
最初は一見無関係なお話が展開していくだけだったので、
いったい何が面白いのだろうと思って読むのを止めてしまいました。

その後、
フランスの映画監督ルネ・クレール(1898.11-1981.3)によって製作され、
1945年10月にアメリカで初公開された映画をDVDで観て、
ようやくどういう作品なのか理解できました。

想像していたよりもずっと作為的というか、
トリックそのもので勝負している知的な作品で、
二重三重の謎かけを純粋に楽しむべきことがわかりました。

その上で、
上記の青木訳にジュニア版が出ていることを知り、
今回ようやく通読することができました。

ただ率直な感想をいうと、
それなりに知的に楽しめる作品ではありましたが、
謎かけ以前に展開に不自然な点の多すぎるところがどうしても気になって、
それほど好きにはなれませんでした。

単純に私がミステリに合わないのかもしれませんが、
何となく気になる作家ではあるので、
将来もう少し時間の余裕が出来てから読み返してみたいと思います。

2016年11月28日月曜日

【145冊目】Sheila Burnford, The Incredible Journey (PAR Level 3)

やさしい英語の本、通算145冊目は、
ペンギン・アクティブ・リーディングのレベル3(1200語レベル)の3冊目として、

スコットランドに生まれ、
のちにカナダに移住した小説家
シーラ・バーンフォード(1918.5-1984.4)の
動物小説『信じられぬ旅』を読みました。

著者42歳の時
1960年にカナダとイギリスで〔Toronto and London: Hodder & Stoughton〕、
1961年にアメリカで出版されました〔Boston: Little, Brown〕。


Sheila Burnford
The Incredible Journey

Retold by Joanna Strange
〔Penguin Active Reading Level 3〕
First Penguin Readers edition published 2004
This edition published 2008
14,895語

インターネットで
ペンギン・アクティブ・リーディングの目録を眺めているうちに、
ふと気になった作品です。

カナダの大自然を舞台に、
2匹の犬と1匹の猫が活躍する児童向けの動物小説ということで、
興味をもって読んでみることにしました。

調べてみると、
出版後すぐに大ベストセラーになったことから、
ディズニーによって映画化され、
今から53年前の1963年11月に初公開

日本でも『三匹荒野を行く』という邦題で、
1965年1月に公開されましたが、
私の生まれるだいぶ前のことなので、
まったく知りませんでした。

ちなみに映画はアニメではなく、
実写版の動物映画です。


翻訳は次の3種類が見つかりました。

藤原英司(ふじわらえいじ)訳
『信じられぬ旅』
(集英社〔コンパクト・ブックス〕1965年)
 ※集英社〔動物文学シリーズ〕1969年に再録。
 ※集英社文庫(1978年12月)に再録。
 ※講談社〔世界動物文学全集14〕1979年12月に再録。

山本まつよ訳
『三びき荒野を行く』
(あかね書房〔国際児童文学賞全集10カナダ編〕1965年6月)

辺見栄(へんみさかえ)訳
『三匹荒野を行く』
(集英社〔世界の動物名作1〕1972年)
 ※辺見訳は市場にほとんど出回っていないようです。

一番手に入れやすい藤原訳を手に入れました。
わかりやすい正確な訳文ではありますが、
素っ気のない文体で、文章自体にはあまり魅力を感じませんでした。

一貫して第三者の視点から、
3匹の主人公を客観的に描き出していくスタイルで、
動物が人間のように自分のことをしゃべりだす場面はありません。

内容的にも「信じられぬ旅」とは言いながら、
ファンタジー的な要素はなく、
あくまで現実的にギリギリ起こりそうな事柄しか描かれていないので、

完訳で全部を読み切るのは、
少し退屈なことのように思われました。

ただし藤原訳から
すでに半世紀は過ぎているので、
新訳で装いを新たにすれば、
まったく違った印象を受ける可能性も高いです。


  ***

やさしい英語で読む分には、
退屈な思いをする間もなく、
どんどん物語が進んでいきますので、

動物が出て来る楽しいお話として、
簡単に読み進めることができました。

ただやはり、
ストーリーの展開が少し平板な気がするのも確かなので、
忘れられた傑作とまでいえるかどうかは、
少し時間をおいて再読してみたいと思います。

もしかしたら原書で読んだほうが、
魅力の伝わりやすい所があるのかもしれません。


シーラ・バーンフォード氏は
それほど多作でなかったようですが、
ほかにも邦訳が出ていないか調べてみると、
興味深い一冊が見つかりました。

中村妙子(なかむらたえこ)訳
『ベル・リア ―戦火の中の犬』
(評論社、1978年10月)

古本で安く手に入るので、
近々こちらも購入して読んでみようと思います。



※第145冊目。総計1,288,504語。


※Wikipediaの「Sheila Burnford」「The Incredible Journey」を参照。

2016年11月21日月曜日

【読了】ユン・チアン&ジョン・ハリディ著『真説 毛沢東(下)』

中華人民共和国出身、イギリス在住の著作家
ユン・チアン(張戎 1952.3- )と、

イギリス在住のロシア史研究家
ジョン・ハリディ(John Halliday)の共著による

毛沢東(1893.12-1976.9)の評伝
“MAO The Unknown Story”の翻訳
『真説 毛沢東(下)』を読みました。

2005年に土屋京子(つちやきょうこ)氏の翻訳で出版された
『マオ 誰も知らなかった毛沢東(下)』を改題のうえ再刊したものです。


ユン・チアン&ジョン・ハリディ共著
土屋京子(つちやきょうこ)訳
『真説 毛沢東(下)』
(講談社α文庫、2016年6月)
 ※初出は講談社、2005年11月。原題『マオ 誰も知らなかった毛沢東(下)』

 ※下巻末の追記に、
 「この本の原著“MAO The Unknown Story”が出版されたのは、
  二〇〇五年六月でした。その後、
  著者が原著のところどころに加筆、削除、修正をほどこし、
  現在、著者の意向を最も正確に反映しているのは
  ヴィンテージ・ブックスから二〇〇七年に出された版です。
   今回、単行本『マオ 誰も知らなかった毛沢東』を
  講談社+α文庫から『真説毛沢東 誰も知らなかった実像』として
  出版しなおす機会に、最新版の“MAO”にもとづいて、
  日本語の訳文も数十ヵ所の加筆、削除、訂正をおこないました。
                   二〇一六年五月  土屋京子」
 とある(下巻705頁)。

無事に下巻も読み終わりました。

大戦の4年後、
中華人民共和国が成立して以降の、
毛沢東の後半生が描かれていました。

各章それぞれに、
数冊の研究書が必要となる分量を、
圧縮して一章につめこんでいるので、

個々の記述にまで踏み込むと、
若干食い足りない印象も残りました。
章立ては以下の通りです。


第5部 超大国の夢
 第32章 スターリンと張り合う
     1949-49年★毛沢東53-55歳
 第33章 二大巨頭の格闘
     1949-50年★毛沢東55-56歳
 第34章 朝鮮戦争を始めた理由
     1949-50年★毛沢東55-56歳
 第35章 朝鮮戦争をしゃぶりつくす
     1950-53年★毛沢東56-59歳
 第36章 軍事超大国計画
     1953-54年★毛沢東59-60歳
 第37章 農民を敵に回す
     1953-56年★毛沢東59-62歳
 第38章 フルシチョフを揺さぶる
     1956-59年★毛沢東62-65歳
 第39章 百花斉放の罠
     1957-58年★毛沢東63-64歳
 第40章 大躍進―国民の半数が死のうとも
     1958-61年★毛沢東64-67歳
 第41章 彭徳懐の孤独な戦い
     1958-59年★毛沢東64-65歳
 第42章 チベット動乱
     1950-61年★毛沢東56-67歳
 第43章 毛沢東主義を世界に売り込む
     1959-64年★毛沢東65-70歳
 第44章 劉少奇の奇襲
     1961-62年★毛沢東67-68歳
 第45章 原子爆弾
     1962-64年★毛沢東68-70歳
 第46章 不安と挫折の日々
     1962-65年★毛沢東68-71歳

第6部 復讐の味
 第47章 林彪との取引
     1965-66年★毛沢東71-72歳
 第48章 文革という名の大粛清
     1966-67年★毛沢東72-73歳
 第49章 復讐の後味
     1966-74年★毛沢東72-80歳
 第50章 新たな執行体制
     1967-70年★毛沢東73-76歳
 第51章 戦争騒ぎ
     1969-71年★毛沢東75-77歳
 第52章 林彪事件
     1970-71年★毛沢東76-77歳
 第53章 毛沢東主義、世界でもつまずく
     1966-70年★毛沢東72-76歳
 第54章 反共ニクソン、赤に呑まれる
     1970-73年★毛沢東76-79歳
 第55章 周恩来の癌を進行させる
     1972-74年★毛沢東78-80歳
 第56章 江青の文革
     1966-75年★毛沢東72-81歳
 第57章 老人毛沢東、保身を図る
     1973-76年★毛沢東79-82歳
 第58章 最後の日々
     1974-76年★毛沢東80-82歳


朝鮮戦争について、
大躍進について、
チベット侵略について、
文化大革命について、

どれも一章どころか
数冊費やしても語りつくせない大きなテーマなので、
本書をもとに大きな流れをつかんで、
より深く学んでいくきっかけになれば良いのでしょう。

下巻からの内容は、
それなりに自分でも勉強してきたからか、
上巻ほどの目新しさはありませんでしたが、

これまで個々に学んできた歴史的事件を、
大きな流れの中でつなげて理解できたのが、
一番の収穫でした。

細かい歴史的事実を一つずつ積み上げていくタイプの
「毛沢東伝」ではないので、
年表的な使い方を期待する場合は今一つかと思いますが、

毛沢東の生涯を、
中国史の大きな流れの中で、
中国共産党の立場からは離れて理解しようとする場合は、
大きな助けになる一冊でした。


最後に1点、土屋京子氏の翻訳が、
もとから日本語で書かれていたのかと見間違うほどに、
読みやすい訳文に仕上がっていたことも、
読書の大きな助けになりました。

大部な書物なので、その点ありがたかったです。



※Wikipediaの「ユン・チアン」「ジョン・ハリディ」を参照。

2016年11月14日月曜日

◇ディケンズ主要著作 翻訳目録(抄)

ディケンズ主要著作 翻訳目録(抄)


ペンギン・アクティブ・リーディング
のレベル3(1200語レベル)に収録されている
ポール・シプトン著『チャールズ・ディケンズ』
に掲載されている

ディケンズ(1812.2-1870.6)の主要著作について、
日本でどのような翻訳が刊行されているのか調べてみました。

自分の今後の読書案内に、
主にCiNii(NII学術情報ナビゲータ〔サイニィ〕)と
Amazon の検索を用いて整理しただけなので、
学術的な使用に耐えるものではありません。


Sketches by Boz
◇『ボズのスケッチ集』『ボズのスケッチ』 『ボズの素描集
 ⇒1933年から36年にかけて〔21-24歳〕
  新聞・雑誌等に発表されたスケッチ集。
  第1集2巻(1936年2月)、第2集1巻(同年8月)刊行。
  再編した1巻本を1939年に刊行。

・藤岡啓介(ふじおかけいすけ)訳
 『ボズのスケッチ』
 (未知谷、2013年6月)

・田辺洋子(たなべようこ)訳
 『ボズの素描集』
 (あぽろん社、2008年4月)

・藤岡啓介(ふじおかけいすけ)訳
 『ボズのスケッチ ―短篇小説篇(上・下)』
 (岩波文庫、2004年1・2月)

・藤本隆康(ふじもとたかやす)訳
 『ボズの素描集』
 (日本図書刊行会、1993年10月)


Pickwick Papers
◇『ピクウィック・ペイパーズ』『ピクウィック・ペーパーズ
 『ピクウィック・クラブ』『ピクウィック倶楽部
 ⇒1836年4月から37年11月まで月刊分冊〔24-25歳〕。

・田辺洋子(たなべようこ)訳
 『新訳 ピクウィック・ペーパーズ(上・下)』
 (あぽろん社、2002年7月)

・北川悌二(きたがわていじ)訳
 『ピクウィック・クラブ(上・中・下)』
 (ちくま文庫、1990年2-4月)
  ※初出は三笠書房、1971年。

・宮西豊逸(にしみやほういつ)訳
 『ピクウィック倶楽部(上・中・下)』
 (三笠書房〔世界文学選書66-68〕1951年1-6月)


Oliver Twist
◇『オリヴァー・トゥイスト』『オリヴァ・トウィスト』
 『オリバー・ツイスト』『オリヴァー・ツウィスト』『オリバーの冒険
 ⇒1837年2月から39年3月まで月刊分冊〔25-27歳〕

・田辺洋子(たなべようこ)訳
 『新訳 オリヴァー・トゥイスト』
 (あぽろん社、2009年10月)

・本多顕彰(ほんだあきら)訳
 『オリバー・ツウィスト』
 (あかね書房〔少年少女世界の文学5〕1971年5月)

・小池滋(こいけしげる)訳
 『オリヴァー・トゥイスト(上・下)』
 (ちくま文庫、1990年12月)
  ※初出は講談社〔世界文学全集13〕1970年5月。
  ※その後、講談社文庫(1971年)に再録。
  ※その他、学習研究社〔世界文学全集9〕1977年11月に再録。

・北川悌二(きたがわていじ)訳
 『オリバー・ツイスト(上・下)』
 (角川文庫、2006年1月)
  ※初出は『オリヴァ・トウィスト』(三笠書房)
   インターネット上では、
    『オリヴァ・トウィスト(続)』(三笠書房、1968年)
    『オリヴァ・トウィスト』(三笠書房、1971年)
    『オリヴァ・トウィスト(1・2)』(三笠書房、1972年)
   の3種類見つかるが、詳細は調査中。
  ※その後、『オリヴァー・トウィスト』
   (日本ブック・クラブ〔世界文学全集11〕1974年7月)に再録。

・松本恵子(まつもとけいこ)訳
 『オリバーの冒険』
 (小学館〔少年少女世界名作文学全集32〕1963年8月)

・本多季子(ほんだすえこ)訳
 『オリヴァ・ツウィスト(上・下)』
 (岩波文庫、1956年6月)

・中村能三(なかむらよしみ)訳
 『オリバー・ツイスト(上・下)』
 (新潮文庫、1955年。改版 2005年12月。原題『オリヴァ・ツイスト』)
  ※初出は『オリヴァ・ツイスト』(新潮社、1953年9月)。

・鷲巣尚(わしのすひさし)訳
 『オリヴァ・トウィスト(上・下)』
 (角川文庫、1953年8・10月)

・片山昌造(かたやましょうぞう)訳
 『オリバー・ツイスト』
 (大日本雄弁会講談社〔世界名作全集56〕1953年7月)

・松本泰(まつもとやすし)・松本恵子(まつもとけいこ)共訳
 『漂泊の孤児』
 (中央公論社〔ヂッケンス物語全集1〕1936年10月)

・馬場孤蝶(ばばこちょう)訳
 『オリヴァー・ツウィスト』
 (改造社〔世界大衆文学全集9〕1930年1月)
  ※改造社〔世界大衆文学名作選集17〕1939年11月に再録。


Nicholas Nickleby
◇『ニコラス・ニクルビー
 ⇒1838年4月から39年10月まで月刊分冊〔26-27歳〕

・田辺洋子(たなべようこ)訳
 『ニコラス・ニクルビー(上・下)』
 (こびあん書房、2001年4月)

・菊池武一(きくちたけかず)訳
 『善神と魔神と ニコラス・ニグルビー(1)』
 (角川文庫、1953年9月)

・松本泰(まつもとやすし)・松本恵子(まつもとけいこ)共訳
 『開拓者』
 (中央公論社〔ヂッケンス物語全集7〕1937年5月)


The Old Curiosity Shop
◇『骨董屋
 ⇒1840年4月から1841年2月まで月刊分冊〔28-29歳〕

・田辺洋子(たなべようこ)訳
 『新訳 骨董屋』
 (あぽろん社、2008年11月)

・北川悌二(きたがわていじ)訳
 『骨董屋(上・下)』
 (ちくま文庫、1989年9・10月)
  ※初出は三笠書房(1973年7月)


Barnaby Rudge
◇『バーナビー・ラッジ』『バーナビ・ラッジ
 ⇒1841年2月から同年11月まで月刊分冊〔29歳〕

・田辺洋子(たなべようこ)訳
 『新訳 バーナビ・ラッジ』
 (あぽろん社、2003年7月)

・小池滋(こいけしげる)訳
 『バーナビー・ラッジ』
 (集英社〔世界文学全集15〕1975年10月)
  ※集英社ギャラリー〔世界の文学 イギリス2〕1990年6月に再録。

・松本泰(まつもとやすし)・
 松本恵子(まつもとけいこ)共訳
 『少女瑠璃子』
 (中央公論社、1937年1月)


American Notes
◇『アメリカ紀行』『アメリカ見聞記
 ⇒1842年10月刊行〔30歳〕

・伊藤弘之(いとうひろゆき)・
 下笠徳次(しもがさとくじ)・
 隈元貞広(くまもとさだひろ)共訳
 『アメリカ紀行(上・下)』
 (岩波文庫、2005年10・11月)


Martin Chuzzlewit
◇『マーティン・チャズルウィット
 ⇒1843年1月から44年7月まで月刊分冊〔31-32歳〕

・田辺洋子(たなべようこ)訳
 『新訳 マーティン・チャズルウィット(上・下)』
 (あぽろん社、2005年)

・北川悌二(きがたわていじ)訳
 『マーティン・チャズルウィット(上・中・下)』
 (ちくま文庫、1993年8-10月)
  ※初出は三笠書房(1974年9月)

・松本泰(まつもとやすし)・
 松本恵子(まつもとけいこ)共訳
 『千鶴井家の人々』
 (中央公論社〔ヂッケンス物語全集5〕 1937年2月)


A Christmas Carol
◇『クリスマス・キャロル
 ⇒1843年12月刊行〔31歳〕

・井原慶一郎(いはらけいいちろう)訳
 『クリスマス・キャロル』
 (春風社、2015年11月)◇256p

・杉田七重(すぎたななえ)訳
 『クリスマス・キャロル』
 (角川つばさ文庫、2013年11月)

・梅宮創造(うめみやそうぞう)訳
 「『クリスマス・キャロル』前後」
 (大阪教育図書、2013年10月)◇244p
  ※『クリスマス・キャロル(小説)』の翻訳とともに、
   『クリスマス・キャロル(朗読台本・全四曲)』
   その他4作品の翻訳を収録。

・田辺洋子(たなべようこ)訳
 『クリスマス・ブック』
 (渓水社、2012年9月)
  ※「クリスマス・キャロル」「鐘の精」「炉端のこおろぎ」
   「人生の戦い」「憑かれた男」の5作を収録。

・池央耿(いけひろあき)訳
 『クリスマス・キャロル』
 (光文社古典新訳文庫、2006年11月)

・脇明子(わきあきこ)訳
 『クリスマス・キャロル』
 (岩波少年文庫、2000年11月。愛蔵版、2009年10月)

・中川敏(なかがわさとし)訳
 『クリスマス・キャロル』
 (集英社文庫、1991年11月)

・夏目道子(なつめみちこ)訳
 『クリスマス・キャロル』
 (金の星社〔フォア文庫〕1991年11月)

・八木田宜子(やぎたよしこ)訳
 『クリスマス・キャロル』
 (集英社〔少年少女世界名作の森2〕1989年11月)

・こだまともこ訳
 『クリスマスキャロル』
 (講談社青い鳥文庫、1984年11月。新装版、2007年11月)
  ※講談社〔少年少女世界文学館7〕1987年11月に再録。
  ※講談社〔21世紀版 少年少女世界文学館7〕2010年10月に再録。

・皆川宗一(みながわそういち)訳
 『クリスマス・キャロル』
 (河出書房新社〔世界文学全集6〕1961年3月)
  ※河出書房新社〔世界文学全集5〕1966年1月に再録。
  ※河出書房新社〔世界文学全集カラー版10〕1967年10月に再録。
  ※河出書房新社〔河出世界文学大系28〕1980年11月に再録。
  ※河出書房新社〔河出世界文学全集6〕1989年10月に再録。

・村岡花子(むらおかはなこ)訳
 『クリスマス・キャロル』
 (新潮文庫、2011年11月)
  ※新潮文庫への初収録は1952年11月。
   2011年の改版までは原題『クリスマス・カロル』
  ※河出書房新社〔世界文学の玉手箱18〕1994年12月に再録。

・金口儀明(かなぐちよしあき)訳
 『クリスマス・キャロル』
 (開文堂、1951年)

・村山英太郎(むらやめいたろう)訳
 『クリスマス・キャロル』
 (岩波少年文庫、1950年12月。改版、1967年12月)

・安藤一郎(あんどういちろう)訳
 『クリスマス・カロル』
 (講談社〔少年少女世界文学全集6 イギリス編3〕1959年
  ※初出はトッパン〔浪漫新書〕1948年11月。原題『クリスマスの歌』

・原島義衛(はらしまよしもり)訳
 『クリスマス・キャロル』
 (筑紫書房、1948年9月)

・森田草平(もりたそうへい)訳
 『全訳クリスマス・カロル』
 (尚文堂、1926年10月)

・中島孤島(なかじまことう)訳
 『クリスマス・カロル』
 (家庭読物刊行会〔世界少年文学名作集13〕1920年8月)
  ※精華書院〔世界少年文学名作集13〕1922年3月に再録。

・矢口達(やぐちたつ)訳
 『クリスマスカロル』
 (三星社出版部、1915年3月)

・浅野和三郎(あさのわさぶろう)訳
 『クリスマス・カロル』
 (大日本図書、1902年4月)


Pictures from Italy
◇『イタリアのおもかげ
 ⇒1846年5月刊行〔34歳〕

・伊藤弘之(いとうひろゆき)・
 下笠徳次(しもがさとくじ)・
 隈元貞広(くまもとさだひろ)共訳
 『イタリアのおもかげ』
 (岩波文庫、2010年4月)


Dombey and Son
◇『ドンビー父子
 ⇒1846年10月から48年4月まで月刊分冊〔34-36歳〕

・田辺洋子(たなべようこ)訳
 『ドンビー父子(上・下)』
 (こびあん書房、2000年5月)

・松本泰(まつもとやすし)・松本恵子(まつもとけいこ)共訳
 『鉄の扉』
 (中央公論社〔ヂッケンス物語全集8〕1937年6月)


David Copperfield
◇『デイヴィッド・コパフィールド
 ⇒1849年4月から50年10月まで月刊分冊〔37-38歳〕 。

・田辺洋子(たなべようこ)訳
 『新訳 デイヴィッド・コパフィールド(上・下)』
 (あぽろん社、2006年)

・石塚裕子(いしづかひろこ)訳
 『デイヴィッド・コパフィールド(1-5)』
 (岩波文庫、2002年7月-2003年3月)

・中野好夫(なかのよしお)訳
 『デイヴィッド・コパフィールド(1-4)』
 (新潮文庫、1967年2月-。改版、2006年9月)
  ※初出は新潮社〔世界文学全集12・13〕1963年。

・市川又彦(いちかわまたひこ)訳
 『デイヴィド・コパフィールド(1-6)』
 (岩波文庫、1950年7月-52年12月)

・松本泰(まつもとやすし)・松本恵子(まつもとけいこ)共訳
 『男の一生』
 (中央公論社〔ヂッケンス物語全集9〕1937年7月)

・平田禿木(ひらたとくぼく)訳/島田謹二(しまだきんじ)校定
 『デエヴィド・カッパフィルド(1-4)』
 (国民文庫刊行会〔世界名作大観、1925年6月-28年7月〕
  ※『デェィヴィッド・カッパフィールド(1-3)』
   (日本評論社〔世界古典文庫43-45〕1949年11月-)に再録。未完か?

・矢口達(やぐちたつ)訳
 『デヰ゛ッドの生立ち(1-4)』
 (春陽堂〔世界名作文庫6-9〕1932年)
  ※初出は早稲田大学出版部(上下2冊、1918年12月)


Bleak House
◇『荒涼館
 ⇒1852年3月から53年9月まで月刊分冊〔40-41歳〕

・田辺洋子(たなべようこ)訳
 『新訳 荒涼館』
 (あぽろん社、2007年8月)

・青木雄造(あおきゆうぞう)・小池滋(こいけしげる)共訳
 『荒涼館(1-4)』
 (ちくま文庫、1989年)
  ※初出は筑摩書房〔世界文学大系29〕1969年7月。
  ※筑摩書房〔筑摩世界文学大系34〕1975年1月に再録。

・松本泰(まつもとやすし)・松本恵子(まつもとけいこ)共訳
 『北溟館物語』
 (中央公論社〔ヂッケンス物語全集2〕1936年11月)


Hard Times
◇『ハード・タイムズ
 ⇒1854年4月から同年8月まで週刊分冊〔42歳〕 。

・田辺洋子(たなべようこ)訳
 『新訳 ハード・タイムズ』
 (あぽろん社、2009年3月)

・山村元彦(やまむらもとひこ)・
 竹村義和(たけむらよしかず)・
 田中孝信(たなかたかのぶ)共訳
 『ハード・タイムズ』
 (英宝社、2000年4月)

・柳田泉(やなぎだいずみ)訳
 『世の中』
 (新潮社〔世界文学全集18〕1928年10月)
  ※『二都物語』との合冊。


Little Dorrit
◇『リトル・ドリット
 ⇒1855年12月から57年6月まで月刊分冊〔43-45歳〕 。

・田辺洋子(たなべようこ)訳
 『リトル・ドリット(上・下)』
 (あぽろん社、2004年7月)

・小池滋(こいけしげる)訳
 『リトル・ドリット(1-4)』
 (ちくま文庫、1991年1月-4月)

・松本泰(まつもとやすし)・松本恵子(まつもとけいこ)共訳
 『貧富の華』
 (中央公論社〔ヂッケンス物語全集10〕1937年8月)


A Tale of Two Cities
◇『二都物語
 ⇒1859年4月から同年11月まで週刊分冊〔47歳〕 。

・池央耿(いけひろあき)訳
 『二都物語(上・下)』
 (光文社古典新訳文庫、2016年3月)

・加賀山卓朗(かがやまたくろう)訳
 『二都物語』
 (新潮文庫、2014年6月)

・田辺洋子(たなべようこ)訳
 『二都物語』
 (あぽろん社、2010年4月)

・中野好夫(なかのよしお)訳
 『二都物語(上・下)』
 (新潮文庫、1967年1月。改版、2012年8月)
  ※初出は集英社〔世界の名作21〕1965年2月。
  ※河出書房新社〔世界文学全集5〕1966年1月に再録。
  ※河出書房新社〔河出世界文学大系28〕1980年11月に再録。
  ※河出書房新社〔河出世界文学全集6〕1989年10月に再録。

・猪俣礼二(いのまたれいじ)訳
 『二都物語』
 (河出書房〔世界文学全集 第2期6〕1955年11月)

・阿部知二(あべともじ)訳
 『二都物語』
 (筑摩書房〔中学生全集64〕1951年12月)

・原百代(はらももよ)訳
 『二都物語(上・下)』
 (岡倉書房、1950年)

・佐々木直次郎(ささきなおじろう)訳
 『二都物語(上・中・下)』
 (岩波文庫、1936年10月-37年6月。上下2冊に改版、1948年4・10月)

・大久保康雄(おおくぼやすお)訳
 『二都物語』
 (新文社〔世界名著物語文庫〕1946年7月)

・松本泰(まつもとやすし)・
 松本恵子(まつもとけいこ)共訳
 『二都物語』
 (中央公論社〔ヂッケンス物語全集6〕1937年4月)

・柳田泉(やなぎだいずみ)訳
 『二都物語(上・下)』
 (新潮文庫、1937年4月)
  ※初出は新潮社〔世界文学全集18〕1928年10月。


Great Expectations
◇『大いなる遺産
 ⇒1960年12月から61年8月まで週刊分冊〔48-49歳〕 。

・石塚裕子(いしづかひろこ)訳
 『大いなる遺産(上・下)』
 (岩波文庫、2014年)

・山西英一(やまにしえいいち)訳
 『大いなる遺産(上・下)』
 (新潮文庫、1951年10月。改版、2013年10月)
  初出は改造社(上下2冊。1948年9・12月)。

・佐々木徹(ささきとおる)訳
 『大いなる遺産(上・下)』
 (河出文庫、2011年7月)

・山本政喜(やまもとまさき)訳
 『大いなる遺産(上・中・下)』
 (角川文庫、1952年。改訂版、1998年5月)

・松本泰(まつもとやすし)・松本恵子(まつもとけいこ)共訳
 『謎の恩恵者』
 (中央公論社〔ヂッケンス物語全集3〕1936年12月)


Our Mutual Friend
◇『我らが共通の友』『互いの友
 ⇒1864年5月から65年11月まで月刊分冊〔52-53歳〕

・間二郎(はざまじろう)訳
 『我らが共通の友(上・中・下)』
 (ちくま文庫、1997年)

・田辺洋子(たなべようこ)訳
 『互いの友(上・下)』
 (こびあん書房、1996年8・9月)


The Mystery of Edwin Drood
◇『エドウィン・ドゥルードの謎』『エドウィン・ドルードの謎
 ⇒1870年4月から月刊分冊〔未完 58歳没〕

・田辺洋子(たなべようこ)訳
 『エドウィン・ドゥルードの謎』
 (渓水社、2010年10月)

・小池滋(こいけしげる)訳
 『エドウィン・ドルードの謎』
 (白水uブックス、2014年5月)
  ※初出は創元推理文庫(1988年5月)



著作の書誌情報は、
 松村昌家(まつむらまさいえ)著
 『ディケンズ小事典』
 (研究社出版、1994年1月)
を参照しました。おそらく現在は、
 西條隆雄・原英一・佐々木徹・松岡光治・植木研介 共著
 『ディケンズ鑑賞大事典』
 (南雲堂、2007年6月)
をまず紐解くべきなのでしょうが、高価で手が出せません。

ディケンズの伝記は、
 三ツ星堅三(みつぼしけんぞう)著
 『チャールズ・ディケンズ ―生涯と作品―』
 (創元社、1995年10月)
のみ手に入れました。専門家向けの伝記ですが、
研究者に珍しく読ませる文章力で、
一般向けにもお薦めの1冊に仕上がっていました。

2016年11月12日土曜日

【144冊目】Paul Shipton, Charles Dickens (PAR Level 3)

やさしい英語の本、通算144冊目は、
ペンギン・アクティブ・リーディングのレベル3(1200語レベル)の2冊目として、

英語学習者向けに
やさしい英語の本を書き下ろされている
ポール・シプトン氏による

イギリスの小説家
チャールズ・ディケンズ(1812.2-1870.6)の評伝を読みました。


Paul Shipton
Charles Dickens

〔Penguin Active Reading Level 3〕
This edition first published by Pearson Education Ltd 2007
13,439語

四十を過ぎるまで、
『クリスマス・キャロル』すらまともに読んだことがなかったので、
著者ディケンズについても何も知らぬまま生きて来ました。

やさしい英語の本を読むようになって、
『クリスマス・キャロル』や『デイヴィッド・コパフィールド』や『二都物語』で、
その深い魅力に気がつくようになると、
ディケンズ本人についてより詳しく知りたくなりました。

しかし日本語で、
ディケンズの手ごろな入門書がないか探してみると、
研究者向けの高価で大部なものが多く、
高校生くらいから読めそうなわかりやすいものは出ていませんでした。

今回のやさしい英語によるディケンズの評伝、

一見難しそうでしたが、
実際に読んでみると初心者の私にもわかりやすく、
ディケンズの生涯を大まかにたどりながら、
主要な著作の内容も手短に紹介してあって、
読書案内としてもとてもよく出来ていました。

どれも原文はかなり難渋なようなので、まずは翻訳で、
『オリバー・ツイスト』あたりから1作ずつ読み進めていこうと思います。
紹介されていた著作を以下にまとめておきます。


Sketches by Boz
◇『ボズのスケッチ集』『ボズのスケッチ』 『ボズの素描集
 ⇒1933年から36年にかけて〔21-24歳〕
  新聞・雑誌等に発表されたスケッチ集。
  第1集2巻(1936年2月)、第2集1巻(同年8月)刊行。
  再編した1巻本を1939年に刊行。

Pickwick Papers
◇『ピクウィック・ペイパーズ』『ピクウィック・ペーパーズ
 『ピクウィック・クラブ』『ピクウィック倶楽部
 ⇒1836年4月から37年11月まで月刊分冊〔24-25歳〕

Oliver Twist
◇『オリヴァー・トゥイスト』『オリヴァ・トウィスト
 『オリバー・ツイスト』『オリヴァー・ツウィスト
 『オリバーの冒険』など
 ⇒1837年2月から39年3月まで月刊分冊〔25-27歳〕

Nicholas Nickleby
◇『ニコラス・ニクルビー
 ⇒1838年4月から39年10月まで月刊分冊〔26-27歳〕

The Old Curiosity Shop
◇『骨董屋
 ⇒1840年4月から1841年2月まで月刊分冊〔28-29歳〕

Barnaby Rudge
◇『バーナビー・ラッジ』『バーナビ・ラッジ
 ⇒1841年2月から同年11月まで月刊分冊〔29歳〕

American Notes
◇『アメリカ紀行』『アメリカ見聞記
 ⇒1842年10月刊行〔30歳〕

Martin Chuzzlewit
◇『マーティン・チャズルウィット
 ⇒1843年1月から44年7月まで月刊分冊〔31-32歳〕

A Chiristmas Carol
◇『クリスマス・キャロル
 ⇒1843年12月刊行〔31歳〕

Pictures from Italy
◇『イタリアのおもかげ
 ⇒1846年5月刊行〔34歳〕

Dombey and Son
◇『ドンビー父子
 ⇒1846年10月から48年4月まで月刊分冊〔34-36歳〕

David Copperfield
◇『デイヴィッド・コパフィールド
 ⇒1849年4月から50年10月まで月刊分冊〔37-38歳〕

Bleak House
◇『荒涼館
 ⇒1852年3月から53年9月まで月刊分冊〔40-41歳〕

Hard Times
◇『ハード・タイムズ
 ⇒1854年4月から同年8月まで週刊分冊〔42歳〕

Little Dorrit
◇『リトル・ドリット
 ⇒1855年12月から57年6月まで月刊分冊〔43-45歳〕

A Tale of Two Cities
◇『二都物語
 ⇒1859年4月から同年11月まで週刊分冊〔47歳〕

Great Expectations
◇『大いなる遺産
 ⇒1960年12月から61年8月まで週刊分冊〔48-49歳〕

Our Mutual Friend
◇『我らが共通の友』『互いの友
 ⇒1864年5月から65年11月まで月刊分冊〔52-53歳〕

The Mystery of Edwin Drood
◇『エドウィン・ドゥルードの謎』『エドウィン・ドルードの謎
 ⇒1870年4月から月刊分冊〔未完58歳没〕


※書誌の詳しい情報は、主に松村昌家編『ディケンズ小事典』(研究社出版、1994年1月)によりました。初心者向けとしては、一番手ごろな1冊です。日本語で書かれた伝記は、偶然手に入れた三ツ星堅三著『チャールズ・ディケンズ ―生涯と作品』(創元社、1995年10月)が優れていました。専門書ですが、研究者らしからぬ読ませる文章で感心しました。上記の著作については邦訳も一通り調べましたが、かなり大部になったので別のブログでアップする予定です。


※第144冊目。総計1,273,609語。

2016年10月28日金曜日

【143冊目】Mark Twain, The Adventures of Huckleberry Finn (PAR Level 3)

やさしい英語の本、通算143冊目は、
ペンギン・アクティブ・リーディングのレベル3(1200語レベル)の1冊目として、

アメリカの小説家
マーク・トウェイン(1835.11-1910.4)の
小説『ハックルベリー・フィンの冒険』を読みました。

著者49歳の時(1884.12)に出版された作品です
(イギリス版。アメリカ版は1885年2月)


Mark Twain
The Adventures of Huckleberry Finn

Retold by John Votaw
〔Penguin Active Reading Level 3〕
First Penguin Readers edition published 2000
This edition published 2008
13,826語

2011年9月に
マクミラン・リーダーズのレベル3
(600語レベル/8,621語)、

2014年11月に
オックスフォード・ブックワームズのステージ2
(700語レベル/6,180語)
で読んで以来、

3回目の『ハックルベリー・フィンの冒険』です。


  ***

やさしい英語で読むほか、
すでに翻訳でも読み終えているので、
難なく読み終えることができました。

今までで一番のボリュームですが、
全訳の重厚さを経験していると、
まだまだ物足りない印象でした。

『トム・ソーヤーの冒険』と比べると、
若干違った趣のある作品なのですが、

そこまで深入りするでもなく、
あっさりと読み終わっていました。

翻訳は読みやすさで選ぶのなら、
講談社青い鳥文庫の斉藤健一(さいとうけんいち)訳が一番です。


斉藤健一訳
『ハックルベリー=フィンの冒険(上・下)』
(講談社青い鳥文庫、1996年9月)

全訳でこれだけ違和感なくすらすら読めるものは他にないので、
最初に選ばれる場合はぜひ斉藤訳をお薦めしたいです。

正直なところ、
トム・ソーヤーより内容は濃いのですが、
構成が散漫として弱い印象があるので、

文章に勢いがないと途中で飽きが来て、
読み進めるのが苦痛になりかねません。

勢いのある斉藤訳で読んで初めて、
『トム・ソーヤーの冒険』をこえる傑作とする
文学史上の評価にも納得がいきました。

すでに絶版のようですが、
古本では安値がついています。


もう一人だけ上げるなら、
ちくま文庫の加藤祥造(かとうしょうぞう)訳が気になっています。


加藤祥造訳
『完訳 ハックルベリ・フィンの冒険』
(ちくま文庫〔マーク・トウェイン・コレクション1〕2001年7月)
 ※初出の単行本は架空社、1995年5月。

古本で単行本のほうを手に入れてみたところ、

会話文がよくこなれていることに感心し、
こちらで読んでも楽しいかもと思っています。

加藤氏ならではのこだわりを感じさせる分、
斉藤訳のあとでは多少くどそうな気もするのですが、
次に機会があれば、加藤訳に挑戦しようと思っています。


※第143冊目。総計1,260,170語。

2016年10月17日月曜日

【読了】C.S.ルイス著〔土屋京子訳〕『ナルニア国物語① 魔術師のおい』

北アイルランド生まれの小説家
クライブ・ステープルス・ルイス
(Clive Staples Lewis, 1898年11月29日生-1963年11月22日没)
の長編小説『魔術師のおい The Magician's Nephewを読みました。

全7巻からなる『ナルニア国物語』の1冊で、
著者56歳の時(1955年5月)に刊行されました


  ***

『ナルニア国物語』は、
瀬田貞二(せたていじ, 1916.4-1979.8)氏の
翻訳で長らく親しまれてきました。

今年の夏に古本屋で
全巻(7冊700円!)を手に入れて、
この機会に読んでみようと思っていたのですが、

9月に土屋京子(つちやきょうこ, 1956- )氏の
新訳が刊行されました。

読み比べてみるとさすがに旧訳から60年をへて、
土屋訳のほうがわかりやすい整った訳文でしたので、
新訳で読み進めることにしました。


瀬田訳と土屋訳には巻次に違いがあります。

瀬田訳は、
1966年5月から12月にかけて岩波書店から刊行されました
その際、もともとの出版順に番号がつけられていました。

◎瀬田貞二(せたていじ, 1916.4-1979.8)訳
ナルニア国ものがたり(瀬田訳)
 1『ライオンと魔女』
  (1950年10月英国、同年11月米国)⇒1966年5月刊行
 2『カスピアン王子のつのぶえ』
  (1951年10月英国、52年9月米国)⇒1966年7月刊行
 3『朝びらき丸 東の海へ』
  (1952年9月英国・米国)⇒1966年8月刊行
 4『銀のいす』
  (1953年9月英国、10月米国)⇒1966年10月刊行
 5『馬と少年』
  (1954年9月英国、10月米国)⇒1966年11月刊行
 6『魔術師のおい』
  (1955年5月英国、10月米国)⇒1966年9月刊行
 7『さいごの戦い』
  (1956年3月英国、9月米国)⇒1966年12月刊行

今回、土屋京子氏の新訳では7巻を出版順ではなく、
物語の時系列にそって並べ直してあります。

◎土屋京子(つちやきょうこ, 1956- )訳
ナルニア国物語(土屋訳)
 1『魔術師のおい』
  (1955年5月英国、10月米国)⇒2016年9月刊行
 2『ライオンと魔女と衣装だんす』
  (1950年10月英国、同年11月米国)⇒※2016年12月刊行予定。
 3『馬と少年』
  (1954年9月英国、10月米国)⇒※2017年3月刊行予定。
 4『カスピアン王子』
  (1951年10月英国、52年9月米国)⇒※2017年6月刊行予定。
 5『ドーン・トレッダー号の航海』
  (1952年9月英国・米国)⇒※2017年9月刊行予定。
 6『銀の椅子』
  (1953年9月英国、10月米国)⇒※2017年12月刊行予定。
 7『最後の戦い』
  (1956年3月英国、9月米国)⇒※2018年3月刊行予定。

土屋氏によると、

「著者C・S・ルイス自身がこの順番で
 七巻の作品が読まれるよう希望していたことから、
 現在、欧米で出版されている『ナルニア国物語』は
 この時系列順の列べかたが標準となっている」

そうです(文庫「訳者あとがき」321頁)。

そんなわけで最初に手にとるのは、
『魔術師のおい』と呼ばれる1冊ということになります。


  ***


C.S. ルイス著
土屋京子訳
『ナルニア国物語① 魔術師のおい』
(光文社古典新訳文庫、2016年9月)

初めて読んでみると、

ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』や、
J・M・バリーの『ピーター・パン』を読んだ時のような、
独特な毒や、取っ付きにくさを感じることはなく、

常識的な感覚に彩られた
安心して読める子供向けの小説として、
すんなり読み進めることができました。

子供の頃にふと出会っていたら、
もっと大きな感動を味わえたはずですが、
今読んでもふつうに楽しめる内容でした。

ナルニア国創世の場面の状況描写が美しく、
(日本語だと多少まどろっこしい感じもあるので)
英語で読んだらどんなだろうと興味がわいて来ました。

圧倒的な感動とまではいかないのですが、
ぜひ続刊を読み進めたいと思いました。

2016年10月15日土曜日

【142冊目】William Shakespeare, Othello (PR Level 3)

やさしい英語の本、通算142冊目は、
ペンギン・リーダーズのレベル3(1200語レベル)の12冊目として、

イングランドの劇作家
ウィリアム・シェイクスピア
(William Shakespeare 1564.4-1616.4)の
悲劇『オセロー』を読みました。

推定執筆年は1603-4年、初版は1622年とされているので、
シェイクスピア40代初めの作品ということになります

※河合祥一郎『あらすじで読むシェイクスピア全作品』(祥伝社新書、2013年12月)38頁参照。


William Shakespeare
Othello

Retold by Rosalie Kerr 〔Penguin Readers Level 3〕
This edition first published by Pearson Education Ltd 2006
11,678語

ペンギンリーダーズのレベル3には、
シェイクスピアの戯曲が5冊収録されていました。

喜劇1冊(『夏の夜の夢』)と、
悲劇3冊(『リア王』『ハムレット』『オセロー』)
の計4冊のほか、

喜劇2作(『ヴェニスの商人』『夏の夜の夢』)と
悲劇2作(『ハムレット』『ジュリアス・シーザー』)
の計4作を手短にまとめた1冊があります。

7月からまとめて読んできた最後の残るのが『オセロー』です。
これだけは一度も観たことも読んだこともなかったので、
後回しになっていました。

  ***

初めて『オセロー』を読む前に、
取っ掛かりになるものを探したところ、

1952年に製作された
オーソン・ウェルズ(Orson Welles, 1915.5-1985.10)
監督、脚本、主演による映画が廉価で手に入ることを知り、
まずこれを観てみることにしました。



これが大正解。

60年以上前に撮られたとは思われない、
今観ても古さを感じないセンス溢れる演出で、
飽きる間もなく感動のうちに観終えることができました。

オーソン・ウェルズで観たことがあるのは
『市民ケーン』と『ジェイン・エア』と『リア王』だけですが、
初めて凄い俳優だと思いました。

大人向けの漫画版はまだ出ていないので、
手早く『オセロー』の魅力を知りたい方には、
オーソン・ウェルズ監督・脚本・主演の映画をお薦めします。


  ***

それから読みやすい翻訳も探しましたが、

普段から一番読み慣れている
河合祥一郎訳も安西徹雄訳も出ていなかったので、

新潮文庫の福田恆存訳、
白水uブックスの小田島雄志訳、
ちくま文庫の松岡和子訳を読み比べた結果、

松岡訳を気に入り、購入して読了しました。


松岡和子訳
『オセロー』
(ちくま文庫〔シェイクスピア全集13〕2006年4月)

松岡訳は『夏の夜の夢』や
『ロミオとジュリエット』などの比喩的な表現では、
今ひとつ詩情に乏しいように感じられたのですが、

『オセロー』には
夢見るような詩的表現がほとんどないからか、
平易なよくわかる文章で、難なく読み通すことができました。


  ***

ここまで下準備をしておいたので、
やさしい英語でも苦労せず、すらすら読み通すことができました。

悲劇は本来苦手なはずなのですが、
シェイクスピアの悲劇は、

人の心の毒となる部分に深く切り込みながら、
ひたすらどこまでも真っ黒に塗りつぶしてしまうわけではなく、

どこかで人の心の正しい側面を信じているところがあるので、
全体として深い感動を覚えます。

愛するがゆえの嫉妬、
出世欲からの恨み、妬み、
他人を騙して追い落としたいと願う心といった、
誰の心にも潜んでいる(けれどもふだんはあまり見えない)
嫌らしく醜い側面と向き合う機会をくれる作品
といえるのかもしれません。


※第142冊目。総計1,246,344語。

2016年10月12日水曜日

【読了】ユン・チアン&ジョン・ハリディ著『真説 毛沢東(上)』

中華人民共和国出身、イギリス在住の著作家
ユン・チアン(張戎 1952.3- )氏と、

イギリス在住のロシア史研究家
ジョン・ハリディ(John Halliday)氏の共著による

毛沢東(1893.12-1976.9)の評伝
“MAO The Unknown Story”の翻訳
『真説 毛沢東 誰も知らなかった実像(上)』を読みました。

2005年に土屋京子(つちやきょうこ)氏の翻訳で出版された
『マオ 誰も知らなかった毛沢東(上)』を改題のうえ再刊したものです。


ユン・チアン&ジョン・ハリディ共著
土屋京子(つちやきょうこ)訳
『真説 毛沢東 誰も知らなかった実像(上)』
(講談社α文庫、2016年6月)

 ※下巻末の追記に、
 「この本の原著“MAO The Unknown Story”が出版されたのは、二〇〇五年六月でした。その後、著者が原著のところどころに加筆、削除、修正をほどこし、現在、著者の意向を最も正確に反映しているのはヴィンテージ・ブックスから二〇〇七年に出された版です。/今回、単行本『マオ 誰も知らなかった毛沢東』を講談社+α文庫から『真説毛沢東 誰も知らなかった実像』として出版しなおす機会に、最新版の “MAO” にもとづいて、日本語の訳文も数十ヵ所の加筆、削除、訂正をおこないました。/二〇一六年五月  土屋京子」
 とある(下巻705頁)。

2005年に単行本が出た時に、
ぜひ読もうと思って手に入れたのですが、
1100頁(562頁+556頁;単行本)を超える大著に、
いずれ時間ができたらと躊躇しているうちに10年過ぎていました。

今回、せっかく再刊されたので、
文庫なら取っ付きやすくて良いかもと手に取って、
読み出してみたところ止まらなくなり、
そのまま上巻を読み終えていました。

まだ下巻が残っていますが、
文庫の上巻だけで773頁もあったので、
途中で挫折しないようにブログにアップしておきます。

参考までに上巻の章立てをまとめておきます。

第1部 信念のあやふやな男
 第1章 故郷韶山を出る
     1893-1911年★毛沢東誕生-17歳
 第2章 共産党員となる
     1911-20年★毛沢東17-26歳
 第3章 なまぬるい共産主義者
     1920-25年★毛沢東26-31歳
 第4章 国民党内での浮沈
     1925-27年★毛沢東31-33歳

第2部 党の覇権をめざして
 第5章 紅軍を乗っ取り、土匪を平らげる
     1927-28年★毛沢東33-34歳
 第6章 朱徳を押さえこむ
     1927-30年★毛沢東34-36歳
 第7章 さらなる野望、妻の刑死
     1927-30年★毛沢東33-36歳
 第8章 血の粛清で「主席」へ
     1929-31年★毛沢東35-37歳
 第9章 中華ソビエト共和国
     1931-34年★毛沢東37-40歳
 第10章 逆風の中で孤立する
     1931-34年★毛沢東37-40歳
 第11章 長征から外されかける
     1933-34年★毛沢東39-40歳
 第12章 長征(一)蒋介石の心算
     1934年★毛沢東40歳
 第13章 長征(ニ)黒幕として実権を握る
     1934-35年★毛沢東40-41歳
 第14章 長征(三)モスクワを独占する
     1935年★毛沢東41歳

第3部 権力基盤を築く
 第15章 劉志丹の死
     1935-36年★毛沢東41-42歳
 第16章 西安事件
     1935-36年★毛沢東41-42歳
 第17章 「共匪」から国政へ
     1936年★毛沢東42-43歳
 第18章 新しいイメージ、新しい生活、新しい妻
     1937-38年★毛沢東43-44歳
 第19章 戦争拡大の陰に共産党スパイ
     1937-38年★毛沢東43-44歳
 第20章 抗日より政敵排除・蒋介石打倒
     1937-40年★毛沢東43-46歳
 第21章 中国の分割を望む
     1939-40年★毛沢東45-46歳
 第22章 新四軍を死の罠にはめる
     1940-41年★毛沢東46-47歳
 第23章 恐怖の力で基盤を固める
     1941-45年★毛沢東47-51歳
 第24章 王明に毒を盛る
     1941-45年★毛沢東47-51歳
 第25章 中国共産党最高指導者
     1942-45年★毛沢東48-51歳

第4部 中国の覇者へ
 第26章 「革命的阿片戦争」
     1937-45年★毛沢東43-51歳
 第27章 ソ連軍がやってくる!
     1945-46年★毛沢東51-52歳
 第28章 ワシントンに救われる
     1944-47年★毛沢東50-53歳
 第29章 スパイ、裏切り、私情で敗れた蒋介石
     1945-49年★毛沢東51-55歳
 第30章 中国征服
     1946-49年★毛沢東52-55歳
 第31章 共産中国ただひとりの百万長者
     1949-53年★毛沢東55-59歳


毛沢東(1893-1976)の人生を
幼いころから順にたどっているのですが、
細かな歴史的事実を丹念に考証していくというよりは、

毛沢東の人生について大枠を語りながら、
中国の近現代史の大きな流れを、
改めて語り直そうとする意図があるようで、

ソ連から中国への影響を紐解きつつ、
この時期の中国史を俯瞰できるように描かれていて、
たいへん勉強になりました。

個人的に興味深かったのが、
ソ連時代のスパイ関係の史料を用いて、
中国共産党の成立にソ連がどのように関与していたのか、
相当踏み込んで言及しているところです。

ソ連あってこその中国共産党、
ソ連あってこその毛沢東であったことが、
具体的にかなりよくわかるように描かれているので、

今も現役の中国共産党にとって、
確かに本書の存在はまずいのだろうと感じました。

史料の扱い方をみると、
小説家ががんばってどうにかなるレベルでは全くないので、
ロンドン大学キングス・カレッジの前上級客員特別研究員であった
ロシア研究家ジョン・ハリディ氏の研究によるところが大きいように思われました。


ソ連の傀儡としての東ヨーロッパに対応する存在として、
ソ連の傀儡としての中華人民共和国があると考えると、

ヨーロッパにおいては
一番の毒牙であった独裁者ヒトラーが倒されたのに対して、

東アジアにおいては、
人を殺すことにかけてはヒトラーも真っ青なレベルの
毛沢東が生き残ったまま戦後を迎え、
彼を支えた中国共産党はいまだに現役であるという。

この現状は、
ヒトラーがスターリンと手を結んで、
ヨーロッパの大半を占領したまま戦後を生きのび、
今なおナチス党が現役で活躍するヨーロッパを想像したらよいでしょう。

そんな大きな視点を与えてくれている点で、
私にとってとても重要な1冊になりそうです。


なお本書にはほとんど言及されていませんが、
ソ連のスパイは当然、同じくらいの頻度で
日本にも関与していたはずなので、

日本の近現代史において、
ソ連のスパイがどのように関与していたのか、
ソ連時代の史料を用いれば、
まだまだ研究の余地があるように思われました。

でもしかし、
ロシア語と中国語と英語と日本語に堪能な、
思想的な偏向のない歴史の研究者というのは、
日本ではほぼありえない前提なのかもしれません。

そんな感想を抱きつつ、
下巻へと進みます。


※Wikipediaの「ユン・チアン」「ジョン・ハリディ」を参照。

2016年9月29日木曜日

【141冊目】Fiona Beddall, A History of Britain (PR Level 3)

やさしい英語の本、通算141冊目は、
ペンギン・リーダーズのレベル3(1200語レベル)の11冊目として、

英語学習者向けに
やさしい英語の本を執筆されている
フィオナ・ベダル氏による
歴史の入門書『イギリスの歴史 A History of Britainを読みました。


Fiona Beddall
A History of Britain

〔Penguin Readers Level 3〕
First published 2006
This edition published 2008
8,500語

やさしい英語の本を読み進めているので、
イギリスとアメリカの歴史はそれなりに知っておきたいと思っています。

まずはイギリスの歴史について、
簡単な入門書を読んでみることにしました。

さすがに何も知らなくては読みづらいと思い、
日本語でも入門書を1冊読んだ上での挑戦だったので、
難なく読み通すことができました。

日本でいえば、
小学校で習う日本史くらいの、
重要なところを手際よく整理してあるので、
最初の1冊にお薦めです。

高校の世界史を多少かじったことがある方なら、
ほんの少しインターネット検索の力をかりれば、
難なく読み通せるレベルだと思います。


日本語による入門書としては、
『イギリスの歴史が2時間でわかる本』
がもう少し詳しい記述になっていて、
一番お薦めです。

さすがに2時間では読めませんが、
急げば2日、のんびり読んでも2週間はかからずに読み通せるはずです。


歴史の謎を探る会編
『イギリスの歴史が2時間でわかる本』
(KAWADE夢文庫、2012年5月)

新書版では、
岩波新書の近藤和彦著『イギリス史10講』や、
中公新書の君塚直隆著『物語 イギリスの歴史』も手に入れましたが、

高校レベルの西洋史の知識があることを前提に、
イギリス史の基本を理解してから読んだら面白そうな内容だったので、
まったくの初心者には難しかったです。
しばらく積み上げておくことにしました。


近藤和彦(こんどうかずひこ)著
『イギリス史10講』
(岩波書店、2013年12月)


君塚直隆(きみづかなおたか)著
『物語 イギリスの歴史(上・下)』
(中公新書、2015年5月)

今は当初の予定通り、
指昭博著『はじめて学ぶイギリスの歴史と文化』を読み進めている所です。
『2時間でわかる本』を少し充実させたくらいの内容で、
これを最初の1冊としても問題ないように感じています。


指昭博(さしあきひろ)著
『はじめて学ぶイギリスの歴史と文化』
(ミネルヴァ書房、2012年7月)

これが終わったら、
指氏のもう1冊の通史も読もうと思っています。


指昭博(さしあきひろ)著
『図説 イギリスの歴史』
(河出書房新社〔ふくろうの本〕、2002年2月。増補新版、2015年6月)

もう少しいろいろ読み進めた上で、
あらためてお薦めの概説を整理する予定です。


※第141冊目。総計1,234,666語。