2015年7月27日月曜日

【読了】Tim Vicary, Dinosaurs(OBW Stage3)

やさしい英語の本、通算110冊目は、

オックスフォード・ブックワームズの
ステージ3(1,000語レベル)の12冊目として、

イギリスの作家
ティム・ヴィカリー(1949-)が執筆した
古生物学の入門書『恐竜 Dinosaursを読みました。

著者63歳の時(2012)に出版された作品です。


Tim Vicary
Dinosaurs

〔Oxford Bookworms Stage3〕
This simplified edition (c) Oxford University Press 2012
First published 2012
10,021語


恐竜については
子供のころにほんの少し興味がありました。

しかし、
近くで化石が採れるわけでもなく、
近くに化石の博物館があるわけでもなかったので、

自然に興味は薄れ、
今ではほぼ何もわからなくなっていました。

読みやすかった『宇宙 Spaceと同じ筆者
ティム・ヴィカリー氏による『恐竜 Dinosaursならば、
挫折せずに最後まで読み通せるはずだと思い、
読んでみることにしました。

結果、最新の「恐竜」研究について、

初心者にもわかりやすい内容で、
楽しみながら読み進めることができました。


一点困ったのは、
たくさん出てくる恐竜の学名が
初めて見聞きするものばかりで、
何と読めばよいのかよくわからなかったことです。

日本の入門書をみれば良いのかもと思い、
子供向けの図鑑をいくつか紐解いてみたのですが、
カタカナの呼び方しか載っていないものばかりでした。

また日本とイギリスでは
入門者向けに紹介される恐竜に偏りがあるようで、
本書を読むのに役立ちそうなものは見つかりませんでした。


結局、一番役立ったのはインターネットの検索で、
わからない恐竜名はインターネットで検索をかけると、
すべて想像図とともに確認することができました。

本来、辞書をあまりひかない原則ですが、

ラテン語の学名だけでは流石にピンと来ないので、
それぞれの日本語名を書きとめながら読み進めました。


  ***

日本語で書かれた恐竜の入門書も、
いくつか手にとってみました。

大人向けに書かれたものは、

入門書とはいっても、
恐竜について本当に何も知らない場合は、
すらすらとは読めないものが多かったです。

恐らく大人でも、
子供向けの図鑑を紐解いたほうが早いように思いましたが、

1冊ずつが結構高価なので、
詳しく調べる余裕がありませんでした。


何冊か手に取った中では、
真鍋真(まなべまこと)氏監修の図鑑が一番気に入りました。


真鍋真監修
『学研の図鑑 恐竜の世界』
(学研教育出版、2013年7月)

図鑑ですが手ごろな値段でソフトカバー、
片手で持ち運びできるサイズなので便利です。

初心者にはこれでも若干難しかったのですが、
総合点では一番だと思いました。


あと一つ気になっているのが

土屋健(つちやけん)著/
群馬県立自然史博物館監修による
「生物ミステリープロ」のシリーズ8冊です。

『エディアカラ紀・カンブリア紀の生物』
 (技術評論社〔生物ミステリープロ1〕、2013年11月)
『オルドビス紀・シルル紀の生物』
 (技術評論社〔生物ミステリープロ2〕、2013年11月)
『デボン紀の生物』
 (技術評論社〔生物ミステリープロ3〕、2014年7月)
『石炭紀・ペルム紀の生物』
 (技術評論社〔生物ミステリープロ4〕、2014年7月)


『三畳紀の生物』
 (技術評論社〔生物ミステリープロ5〕、2015年6月)
『ジュラ紀の生物』
 (技術評論社〔生物ミステリープロ6〕、2015年6月)
『白亜紀の生物 上巻』
 (技術評論社〔生物ミステリープロ7〕、2015年8月)
『白亜紀の生物 下巻』
 (技術評論社〔生物ミステリープロ8〕、2015年8月)

恐竜の時代に対応しているのは後半4冊ですが、
ほかの古生物もひっくるめて紹介されていて、

豊富な写真、復元図とともに、
ラテン語の学名による索引も完備していて、
購買意欲をそそられるシリーズです。

高額なので、
近々とりあえず1冊購入してみようと思っています。


※通算110冊目。計881,686語。

2015年7月20日月曜日

【読了】中川李枝子著/大村百合子絵 『いやいやえん』(1962年)

小学1・2年生くらいの子が
絵本の次に読む本には、

どんな作品があるのか興味を持ちました。

アマゾンで検索をかけてみると、
一番初めに挙がっていたのが
童話集『いやいやえん』でした。

中川李枝子(なかがわりえこ 1935.9- )氏が、
27歳の時(1962.12)に出版されたデビュー作です。


中川李枝子(なかがわりえこ)著
大村百合子(おおむらゆりこ)絵
『いやいやえん』
(福音館書店、1962年12月)

中川氏って誰と思っていたのですが、
絵本『ぐりとぐら』の著者と知って、
俄然興味がわいてきました。

『ぐりとぐら』は
『いやいやえん』の翌年に出版された
著者2作目の作品だそうです。

『いやいやえん』には、
 「ちゅーりっぷほいくえん」
 「くじらとり」
 「ちこちゃん」
 「やまのこぐちゃん」
 「おおかみ」
 「山のぼり」
 「いやいやえん」
の創作童話7作品が収録されています。

幼稚園や保育園で、
先生が園児にするような
楽しいお話を集めてありました。

それほど突拍子もない話があるわけではないのですが、

そういえば子供ってこんなだよなと、
微笑ましい気持ちにさせられる作品揃いでした。


一読、小学1年生には
簡単過ぎるかもと思いましたが、

小1の教科書よりはかなり難しいので、
あまり読み聞かせをして来なかったお子さんの場合は、
小1でも一人で読み切るのは難しそうです。

読み聞かせに使う場合は、
絵本から次の段階にうつる時に最適な内容だと思いました。

お母さんやお父さんが読み聞かせているうちに、

小学校に上る前に、
自然に一人でも読めるようになっているのが理想でしょうか。


日ごろ読む大人の作品とは違いますが、

誰でも読める簡単な作品で、
たくさんの子供の心をつかめるのは素晴らしいことだと思いました。

大人が読んでもそれなりに楽しいですよ。

中川氏の童話集はほかにも色々出ているようなので、
飽きるまで読み続けてみようと思います。

2015年7月13日月曜日

【読了】Tim Vicary, Space(OBW Stage3)

やさしい英語の本、通算109冊目は、

オックスフォード・ブックワームズの
ステージ3(1,000語レベル)の11冊目として、

イギリスの作家
ティム・ヴィカリー(1949-)が執筆した
自然科学の入門書『宇宙 Spaceを読みました。

著者64歳の時(2013)に出版された作品です。


Tim Vicary
Space

〔Oxford Bookworms Stage3〕
(c) Oxford University Press 2013
First published 2013
9,311語

書名に「宇宙」とありますが、宇宙全体というよりは、

太陽系(太陽/水星・金星/地球・月/火星
 /木星・土星/天王星・海王星/冥王星/彗星)

全般のわかりやすい概説になっていました。

2013年の著作ですので、
冥王星は準惑星として紹介されています。

小学校のころは、天体に興味があり、
天体望遠鏡を買ってもらって、

太陽の黒点や月の表面を観察した記憶がありますが、
その後さらにのめり込むことはなく、

中学入学を境にして、
天体からは遠ざかっていました。

久しぶりに読む私にも、
特にわかりにくいことはなく
楽しみながら読み終えることができました。

天体に少しでも興味があって
中学レベルの知識がある方なら、

多少辞書のお世話になればふつう読めると思います。

さすがに天体の専門用語は
辞書をひかないとわからないのですが、

どれも日本語ではよく知っているものばかりなので、
辞書をひいてもわからないものはほぼ皆無でした。

科学の概説だからか、
一つ一つの文章に曖昧なところがないのも好印象でした。


  ***

日本語で似たような入門書はないか調べてみると、
たくさんあり過ぎて収拾がつきませんでした。

まったく網羅していませんが、
素人目でみてわかりやすく、
画像中心で楽しめたのは、


宇宙科学研究倶楽部編
『137億年の宇宙の神秘』
(学研パブリッシング、2015年7月)

でした。観ているだけで楽しめますが、
内容は中学レベルをこえていました。

漢字にルビがふられていないので、
小中学生が読むには難しいかもしれません

大人が楽しむコンパクトな図鑑でしょうか。

いくつか手に取ってみると、

大人向けの入門書は、
まったくの初心者にとって難しいものが多かったです。

恐らく小中学生向けの図鑑を探せば
ほどよいものが見つかりそうですが、

図鑑もたくさん出ている上1冊1冊が高価なので、
今の時点でどれが良いのか判断できませんでした。


※通算109冊目。計871,665語。

2015年7月6日月曜日

【読了】メアリー・シェリー著(芹澤恵訳)『フランケンシュタイン』(新潮文庫)

イギリスの女性小説家、
メアリー・シェリー(1797.8-1851.2)の
小説『フランケンシュタイン』を読みました。

著者20歳の時(1818.1)に出版された作品です。


メアリー・シェリー著
芹澤恵(せりざわめぐみ)訳
『フランケンシュタイン』
(新潮文庫、2015年1月)


ホラーには興味がないと言いながら、
食わず嫌いにはならぬようにと、

先にブラム・ストーカーの
小説『吸血鬼ドラキュラ』を読みました。

ただ恐いだけでなく、
恋愛あり、冒険ありの
思いのほか娯楽性に富んだ内容で、
充実した時間を起こることができました。

もう1冊気になっていたのが、
『フランケンシュタイン』です。

まだ若く19歳の時に書かれた作品なので、
『吸血鬼ドラキュラ』よりも新しいように感じますが、

実際はドラキュラのほうが
80年ほど後に出版されています
(ブラム・ストーカー49歳の時の作品)。


今回、
新潮文庫から芹澤恵(せりざわめぐみ)氏の
新訳が出たのをきっかけに読んでみることにしました。

ほぼ同時期に、ドラキュラと同じ
田内志文(たうちしもん)氏の翻訳も出たので、

まずは田内氏の訳で読み始めたのですが、
こちらはドラキュラより推敲不足のようで、
今一つわかりづらい文章だったので読むのを止めました。

田内志文(たうちしもん)訳
『新訳 フランケンシュタイン』
(角川文庫、2015年2月)

ほかに3冊手に入れてみましたが、
芹澤訳より読みやすいとは思えませんでした。

小林章夫(こばやしあきお)訳
『フランケンシュタイン』
(光文社古典新訳文庫、2010年10月)

森下弓子(もりしたゆみこ)訳
『フランケンシュタイン』
(創元推理文庫、1984年2月)

山本政喜(やまもとまさき)訳
『フランケンシュタイン』
(角川文庫、1953年。改版、1994年11月)
 ※初出は新人社 世界大衆文学全集11、1948年。


  ***

さてこの作品、
『吸血鬼ドラキュラ』と比べて、
悲しみ、苦しみ、怒り、絶望感といった負の感情が、

ふつうに想像される範囲をこえて、
作品中にところせましと敷き詰められていて、
読んでいて胸が苦しくなってきました。

19歳の女性が書いた作品なので、
10代後半の若者特有の増幅された負の感情が、
作品中に反映されているように思われました。


読んでいて、
若書きならではの荒削りなところ、
とくに感情の描き方に無理があるように感じましたが、
そこが独特の魅力につながっているのかもしれません。

どちらかというと、10代20代くらいの
心に色々なわだかまりを抱えているうちに読んだほうが、
強い共鳴を受けるようにも思いました。


望まれずして生まれてきた子供が、
親に対して抱く負の感情。

生まれると同時に見捨てられ、
周りから忌み嫌われてきた子供が、
親から自分の存在を消し去ろうとされた時に、
どんな負の感情を抱くのか。

読後感はあまりよろしいものでなく、

必ずしもここまで
人間の負の感情と向きあう必要はないようにも思われるのですが、

まだ一度通読しただけなので、
また少し時間を置いて、忘れたころに再読してみようと思います。


※「メアリー・シェリー年譜」(小林章夫訳『フランケンシュタイン』光文社古典新訳文庫、2010年10月所収)参照。