2015年5月28日木曜日

【読了】William Shakespeare, A Midsummer Night's Dream (OBW Stage3)

ラダーシリーズのレベル1は、
読みたいものを大体読んでしまったので、
再びオックスフォード・ブックワームズに戻りたいと思います。


やさしい英語の本、通算106冊目は、

オックスフォード・ブックワームズの
ステージ3(1,000語レベル)の9冊目として、

イギリスの劇作家
ウィリアム・シェイクスピア(1564.4-1616.4)の
戯曲『夏の夜の夢』を読みました。

シェイクスピア36歳の時(1600)に出版された作品です。


William Shakespeare
A Midsummer Night's Dream

Retold by R.J.Corrall
〔Oxford Bookworms Stage3〕
This simplified edition (c)Oxford University Press 2014
First published in Oxford Bookworms 2014
11,167語


やさしい英語で読むシェイクスピア、
同じシリーズの一つ前のステージで、

『ロミオとジュリエット Romeo and Juliet 』
(2014年4月)
『ハムレット Hamlet 』
(2014年5月)
『から騒ぎ Much Ado About Nothing 』
(2014年5月)

と読んできたので、これが4作目ということになります。

もとは戯曲ですが、
会話文の多い小説に書き直されています。


『夏の夜の夢』については、
シェイクスピアの戯曲だと認識する前に、

ドイツの作曲家
フェリックス・メンデルスゾーン
(1809.2-1847.11)の

『夏の夜の夢』劇付随音楽
 ※序曲のみ1826年に作曲→作品21
  他の付随音楽は1843年に作曲→作品61

のほうに馴染んでいましたが、
こちらもそれほど詳しくは聴いてこなかったので、
原作が誰なのかあまり気にしないできました。


その後、
美内すずえ氏の
漫画『ガラスの仮面』の劇中劇として
『夏の夜の夢』が演じられるのをみて、

それなりに興味を覚えましたが、
実際手にとって読んでみることはしませんでした。

今回やさしい英語で読むのと併行して、
河合祥一郎(かわいしょういちろう)氏の翻訳も読んでみました。


シェイクスピア著
河合祥一郎訳
『新訳 夏の夜の夢』
(角川文庫、平成25年10月)

『ロミオとジュリエット』と
『ハムレット』の時と同じように、

今から400年以上前の作品とは思えない、
わかりやすい現代の日本語の劇として、
楽しんで読み終えることができました。


やさしい英語版のほうは、
英語圏の人々にとって当然知っているはずの作品なので、
多少難しめのようにも感じましたが、

英語に苦手意識のない
高校生ならふつうに読めるように思いました。

私は翻訳も読みながらでしたので、
とくに問題なく読み進めることができました。


意外とあっさりというか、
現在のお笑い番組とかを観ていると、
特に刺激的な作品でもないのですが、

400年前のお笑いだとよくわかった上でなら、
恋愛にまつわる素朴な笑いとしてふつうに楽しめると思いました。


※通算106冊目。計853,595語。

2015年5月24日日曜日

【読了】バリー著(河合祥一郎訳)『新訳 ピーター・パン』

スコットランド生まれの小説家
ジェームス・マシュー・バリュー(1860.5-1937.6)の
小説『ピーター・パンとウェンディ』を読みました。

著者51歳の時(1911.10)出版された作品です。


ジェームス・マシュー・バリュー著
河合祥一郎訳
『新訳 ピーター・パン』
(角川つばさ文庫、2013年1月)

まずは小説『ピーター・パンとウェンディ』が
成立するまでの経緯を簡単にまとめておきます。


ピーター・パンのお話は、
著者42歳の時(1902.11)に出版された
小説小さな白い鳥 The Little White Birdの中で(第18-23章)、
劇中劇として描かれたのが初めてでした。

 ※46歳の時(1906)に、この劇中劇のみを独立させ、
  『ケンジントン公園のピーター・パン
      Peter Pan in the Kensington Gardens
  と題して出版されました。

  日本語訳はかつて、
   本多顕彰(ほんだあきら)訳
   『ピーター・パン』
   (新潮文庫、1953年10月。1988年11月、58刷改版)
  として出ていました。


この劇中劇をもとに
改めて書き下ろされたのが、
戯曲ピーター・パン ―あるいは大人になりたがらない少年
    Peter Pan; or, the Boy Who Wouldn't Grow Up
であり、著者44歳の時(1904.12)に初演され、大成功を収めました。

 ※この戯曲版も68歳の時(1928)に出版されています。
  日本語訳はまだ出ていないようです。


この戯曲をもとに
改めて書き下ろされたのが、
小説ピーター・パンとウェンディ Peter and Wendy
であり、著者51歳の時(1911.10)に出版されました。

日本で翻訳されているのは、
ディズニー映画などの翻案をのぞけば、
『ピーター・パン』とのみある場合でも、
ほとんどはこの小説『ピーター・パンとウェンディ』の翻訳になっています。


  ***

『ピーター・パン』を読むのは初めてでしたが、
河合祥一郎氏のよくこなれた訳文によって、

現代の小説を読むのと同じ感覚で、
最後まで楽しく読み進めることができました。

もとはお芝居なので、
河合氏のシェイクスピア劇の翻訳、
上演の経験が生かされているように感じました。


寝る前に、親から子へと伝えられる
楽しい夢のお話をたくさんかき集めたような、

バリー独特の感性に彩られた風変わりな作品でした

今読むと、
確かに変わったお話ではありますが、
それほどぶっ飛んでるわけでもなく、

昔ながらのごく穏当な倫理観、正義感にもとづいているので、
安心して読み進めることができました。


お芝居として書き切れないアイデアを
すべて詰め込んだからなのか、

小説としてみると多少雑然とした感じもありましたが、

読み終わってみると
また始めから読み返してみたい、
不思議な魅力にあふれた小説だと思いました。


  ***

河合訳以外に、
次の翻訳を手に入れました。

厨川圭子(くりやがわけいこ)訳
『ピーター・パン』
(岩波少年文庫、1954年10月。新装版、2000年11月)

石井桃子(いしいももこ)訳
『ピーター・パンとウェンディ』
(福音館文庫、2003年6月)
 ※初出は岩波文庫(1957年)。改訳の上、
  福音館古典童話シリーズ5(1972年4月)に再録。


高杉一郎(たかすぎいちろう)訳
『ピーター・パンとウェンディ』
(講談社青い鳥文庫、2010年11月)
 ※初出は『ピーター・パン』(講談社文庫、1984年11月)

芹生一(せりうはじめ)訳
『ピーター・パンとウェンディ』
(偕成社文庫、1989年8月)

大久保寛(おおくぼひろし)訳
『ピーター・パンとウェンディ』
(新潮文庫、2015年5月)


このうち
河合訳についでお薦めなのは、
高杉一郎氏の翻訳です。

30年程前のものですが、
今読んでもまったく違和感を感じない、
読みやすい翻訳だと思います。

ただし、
高杉訳でのCLAMPさんによる挿絵は、
今一つセンスに欠けるように感じました。

今風だからダメというわけでなく、
河合訳のmebaeさんによる挿絵と比べて、

プロの画家としての完成度に欠けるように感じました。


※Wikipediaの「ジェームス・マシュー・バリュー」「ピーター・パン」を参照。

2015年5月22日金曜日

【読了】シェイクスピア著(河合祥一郎訳)『新訳 夏の夜の夢』

ただ今、
やさしい英語でも読み進めているのですが、

イングランドの劇作家
ウィリアム・シェイクスピア(1564.4-1616.4)の
戯曲『夏の夜の夢』を、

河合祥一郎(かわいしょういちろう 1960.7-)氏の
翻訳で読みました。

シェイクスピア36歳の時(1600)に出版された作品です。


ウィリアム・シェイクスピア著
河合祥一郎訳
『新訳 夏の夜の夢』
(角川文庫、2013年10月)

 ※凡例に、
  「一六〇〇年出版のクォート版(Qと表記する)を主たる原典とし、
   一六二三年出版のフォーリオ版(Fと表記する)の読みを適宜取り入れた。」
  とある。

 ※巻末に、
  「この翻訳による初演は、2012年4月22日、
   シェイクスピア祭(聖心女子大学宮代ホール)で
   新国立劇場演劇研修所卒業生・研修生による朗読劇として行われた」
  とある。


『ハムレット』と
『ロミオとジュリエット』以来、
3作目の河合訳によるシェイクスピアです。

今回もまた日本語として良くこなれていて、

違和感なく、
日本語の劇として楽しむことができました。

実際に上演した経験にもとづく最近の翻訳であることが、
河合訳のわかりやすさを生み出しているように感じました。


台本を読むことになるので、
初めての場合は多少面喰らうかもしれませんが、

音読しながら、
黙読の場合も(頭のなかで声に出しながら)
自ら演じるように読み進めると、

作品のもつ魅力にすんなり入り込めるように思います。

400年前の作品であることにも思いを馳せれば、
現代の日本語でここまでの魅力が引き出されるのは凄いことだと思います。


『夏の夜の夢』は、

ドイツの作曲家
フェリックス・メンデルスゾーン(1809.2-1847.11)の
序曲及び劇付随音楽『夏の夜の夢』作品21及び61を聴いて、

題名はよく知っていましたが、
肝心の原作は読まぬまま今に至りました。


そのほか、
美内すずえ氏の漫画『ガラスの仮面』の中で、

劇中劇として演じられるのを読んで、
簡単なあら筋は知っていました。


軽めのお話ではあるので、
読んでいないと一生後悔するような
ズシリと来る感動はありませんが、

河合氏の瑞々しい新訳によって、

喜劇としての軽妙な雰囲気を崩すことなく、
全体を一気に読了できたのはありがたかったです。


少し時間を置いてから、
再読してみたいと思います。

2015年5月18日月曜日

【読了】Jake Ronaldson, The Thomas Edison Story (LS Level1)

やさしい英語の本、通算105冊目!は、

アイビーシーパブリッシング、
ラダーシリーズのレベル1(1,000語レベル)8冊目として、

英語学習者向けに
やさしい英語の本を執筆されている
ジェイク・ロナルドソン氏による

アメリカ合衆国の発明家
トーマス・エジソン(1847.2-1931.10)の伝記を読みました。


Jake Ronaldson
The Thomas Edison Story

〔Ladder Series Level1〕
IBC Publishing,Inc. 2011年10月
10,610語

エジソンの伝記は、
小学生のころに漫画版で読み、
大きな影響を受けました。

電球や電話機、蓄音機や映写機を発明した人
というだけで十分に興味深かったのですが、

子供の頃の変わったエピソードの数々に夢中になって、
小中学校で習う理科への興味を大きく掻き立てられたのを覚えています。


久しぶりに読んだエジソンの伝記でしたが、
意外に詳しいところまで良くまとまっていて、
興味深く読み進めることができました。

文法的にはやさしいのですが、

発明の内容を説明するところは
ふつうの中学英語では習わない単語が使われているので、
理科的な内容に興味がないと難しく感じるかもしれません。


エジソンは
子供の頃から何にでも興味をもち、
自分で試してみないと気が済まない性格で、

正規の学校とは折り合いが悪かったものの、
元教師だった母のもとで勉強していくうちに、

化学や物理に大きな関心を覚え、
自分の実験室をもたせてもらい、
さまざまな実験を繰り返すようになったそうです。

その後、
電球や電話機、蓄音機、映写機など、
さまざまなものを発明していくようになるわけですが、

幼いころから商才に優れたところがあって、
自ら学ぶためのお金を自分でどんどん稼いでいくところ、

いくら失敗してお金がなくなってしまっても、

悩む暇があったら働け働けで、
生涯自分に興味のあることを追求し続けたところなど、

アメリカ的な「自助」の精神にあふれていて、
今回改めてその生き方に感銘を受けました。


そして母は強しというか、
幼い時期によき師(エジソンの場合は母親)に出会えるかどうかは、
彼には決定的に大切だったように感じました。


  ***

子供向けの伝記を、
3種類手に入れたので紹介しておきます。

一番簡単で(総ルビ付き)、
小学校3・4年くらいから読めそうなのが、
桜井信夫(さくらいのぶお)氏の伝記です。


桜井信夫著
『エジソン』
(ポプラポケット文庫、2009年7月)
 ※初出はポプラ社〔おもしろくてやくにたつ子どもの伝記10〕1998年10月。

大人が読むには若干物足りないのですが、

重要な事柄を踏まえつつ、
120頁ほどであっさり読み切れるので、
エジソンについて取り急ぎ知りたい時にはお薦めです。


ただもし1冊だけ選ぶとすれば、
崎川範行(さきかわのりゆき)氏の伝記をお薦めします。


崎川範行著
『エジソン』
(講談社 火の鳥伝記文庫2、1981年11月)

桜井氏の2倍の文量(240頁ほど)で
その分内容が詳しくなっていますが、

総ルビ付きなので
小学校5・6年くらいから読めるでしょう。

図や写真も多く、
全体のバランスも良く取られていると思います。


あと1冊、
大野進(おおのすすむ)氏の伝記もよく出来ていて、
この3冊の中では一番詳しいです。


大野進(おおのすすむ)著
『世界の伝記6 エジソン』
(ぎょうせい、1981年11月)
 ※「新装世界の伝記」として1995年2月に再刊。

内容的には小学生から読めるはずですが、
残念ながらほとんどの漢字にフリガナがふられていないので、
中学生からでないと難しいように思います。

また最近のものよりも、
若干多めに漢字が使われているので、

中学生でも、
漢字が苦手だと読み切らないかもしれません。

表紙のカッコ良さは3冊中際立っているので、
一般の大人が読むのに適しているようにも思いました。


※通算105冊目。計831,777語。

※Wikipediaの「トーマス・エジソン」を参照。

2015年5月15日金曜日

【読了】ミッチェル作(津雲むつみ画)『風と共に去りぬ』(集英社文庫)

アメリカ合衆国の小説家
マーガレット・ミッチェル(1900.11-1949.8)氏の
小説『風と共に去りぬ』を、

日本の漫画家
津雲むつみ(つくもむつみ 1952.2- )氏による漫画で読みました。

原作は
著者26-33歳の時(1926-33)に執筆され、
35歳の時(1936.6)に出版されました。

よく知られている映画版は
著者39歳の時(1939.12)に公開されています。


マーガレット・ミッチェル作
津雲むつみ画
『風と共に去りぬ 1-4』
(集英社文庫コミック版、2002年3月〔1・2〕5月〔3・4〕)

 ※第1部は『週刊セブンティーン』1977年27・28-47号、
  第2部は『週刊セブンティーン』1978年1-20号、
  第3部は『週刊セブンティーン』1978年33-52号、
  第4部は『週刊セブンティーン』1979年11-32号、
  完結編は『週刊セブンティーン』1979年49-52号に掲載された。

漫画版は
漫画家25-27歳の時(1977-79)に出版されていますが、
最近までまったく知りませんでした。


『風と共に去りぬ』との出会いは20代後半のころ、
ほとんど知識のないまま映画版(DVD)で観たのが初めてでした。

4時間あまりの大作ですが、
何もわからないまま観ても惹きつけられる不思議な魅力があって、

時折見直していきたい自分にとって大切な作品となっています。


その後古本屋で、
大久保康雄・竹内道之助共訳の
新潮文庫版を5冊500円で手に入れて、
いずれ読もうと積んであったのですが、

最近、新訳が2つも出たので、
どれが良いのかなと悩んでおりました。

そうした時にふと、
津雲むつみ氏による漫画版が出ていたことを知り、
手に入れてみたところ、

大和和紀氏の『あさきゆめみし』
(源氏物語の漫画版)を思い起こさせる完成度で、

先へ先へと読み進ませる画力があって、
一気に最後まで読み通していました。

基本的にストーリーの省略はなく、
映画よりもかなり詳しいところまで描き出されているので、
これで初めて『風と共に去りぬ』の全体像を知ることができました。


ストーリーが飲み込めてくると、
よくぞここまでと思われるほど書き込まれた
大変な力作であることが実感できました。

恋愛小説ですが、
大人の醜い側面、現実のつらく苦しい側面も
しっかりと描き出されていて、

それでも全体として強く凛とした
前向きの精神に貫かれているところに感銘を受けました。

すべてを失ってなお、
人の心の拠り所になるものがある、

それは先祖の残してくれた土地なのだとする結論は、
もう少し若かったならそんな馬鹿なと否定していたはずですが、

40代に入った今では、
ああそういうことなのかと少しわかってきたように思います。


大作ですが、いずれ原文のままで、
日本語の小説を読むように読み進められたら面白いだろうなと思いました。

でもまずは翻訳です。

3つの翻訳を比べて、
読みやすいものを選んで読了したいと思っています。


※Wikipediaの「マーガレット・ミッチェル」「風と共に去りぬ」「風と共に去りぬ(映画)」を参照。