2015年4月30日木曜日

【読了】Jake Ronaldson, The Albert Einstein Story (LS Level1)

やさしい英語の本、通算104冊目!は、

アイビーシーパブリッシング、
ラダーシリーズのレベル1(1,000語レベル)7冊目として、

英語学習者向けに
やさしい英語の本を執筆されている
ジェイク・ロナルドソン氏による

ドイツ生まれの世界的な物理学者
アルベルト・アインシュタイン(1879.3-1955.4)の伝記を読みました。


Jake Ronaldson
The Albert Einstein Story

〔Ladder Series Level1〕
IBC Publishing,Inc. 2010年10月
9,480語


アインシュタインについて
名前は当然知っているのですが、

どんな人生を歩まれた方なのかは
ほとんど知らないままでした。


彼の伝記は初めて読みますが、

生涯を振り返るだけでなく、

研究の内容についても、
中学理科くらいの知識でどうにか理解できるように
工夫して書かれていました。

ただし中学英語では、
理科の基本用語をほとんど習わないので、

文法的にはやさしいのですが、
文意をつかむのに多少苦労しました。

理科への興味の有無で、
難易度が変わってくるはずで、
中学生ですらすら読み通すのは難しいように感じました。


アインシュタインは
ドイツで生まれ育っていますが、
父の事業が失敗したため若くしてドイツを離れ、
スイスで学問を修め、結婚、就職をし、

一時ドイツに戻るも、
ナチスの台頭によって
アメリカに移住し、その地で亡くなっています。

ユダヤ人であったからか、
ドイツ=祖国という考え方にこだわりはなかったようです。

何でもソツなくこなすタイプというよりは、
物理や数学など自分に興味のあることにのみ集中するタイプで、

堅物の学者的なイメージにはあまり合わないところがあって、
もう少し深くアインシュタインについて知りたいと思いました。


  ***

手頃な伝記はないかと探してみました。
まず手に入れたのは「世界の伝記」というシリーズの1冊です。


瀬川昌男(せがわまさお)著
『アインシュタイン』
(ぎょうせい、1981年3月)
 ※1995年2月に新装版として再刊。
  旧版のみ所有しており、新装版との相違点は不明。
  頁数はどちらも318頁である。


内容的には中学生向けのようですが、

最近のものより
漢字が多めなわりにはルビが少なめなので、

ふだん読書の習慣がないと、
中学生には読みづらく感じるかもしれません。

表紙はとてもいい雰囲気なので、
大人が学びなおすのに最適なようにも思います。


もう1つ、
「人類の知的遺産」シリーズの1冊を手に入れてみました。


矢野健太郎(やのけんたろう)著
『人類の知的遺産68 アインシュタイン』
(講談社、1978年10月)

アインシュタインの評伝と、
論文の翻訳からなる1冊です。

研究者にはもってこいの内容でしょうが、

物理を専門に学んでない私には、
前半(評伝)以外は難しく思われました。


伝記ものは日本語で読もうと思っても、
意外に手頃なのを見つけるのは難しいです。
新しいものも少ないように感じています。


※通算104冊目。計831,818語。

※Wikipediaの「アルベルト・アインシュタイン」を参照。

2015年4月28日火曜日

【読了】オスカー・ワイルド著/清川あさみ絵/金原瑞人訳『幸せな王子』

半年ほど前に
ネット散策をしていて、

金原瑞人氏の翻訳で、
オスカー・ワイルド『幸せな王子』が読めることを知りました。

しかも独創的で美しい刺繍仕立ての絵本で。

いずれ購入しようと思っていたところ、
つい最近、近くの本屋に並んでいたのを見つけたので、
買ってきました。

観ました。
読みました。
感動しました。


オスカー・ワイルド著
金原瑞人(かねはらみずと)翻訳
清川あさみ(きよかわあさみ)絵
今井智己(いまいともき)写真
『幸せな王子』
(リトルモア、2006年3月)

絵本には興味があるのですが、
さすがにお金が続かないのでほとんど手を出していません。

刺繍によって絵本を作るということが、
どれくらいポピュラーなのかわかりませんが、

今回の絵本、
何より刺繍で各場面を描かれた
清川あさみ氏の高い芸術性に心を揺さぶられました。

一見、抽象的な表現のなかにも

程良いぬくもりとユーモア、
淡く切ない悲しみ、やさしい愛情が感じられ、

物語の可憐な美しさがうまく表現されていたと思います。


金原瑞人氏の翻訳は、
かねてからの誰にも読みやすい文体で
さらりと進んでいきますが、

強い表現力を感じさせる清川氏の刺繍と、
淡々とした感じの文章がよく合っていると思いました。


ただし編集上、文章によって
ところどころ活字の大きさを変えているのは、
かえって読みにくいように感じました。

同じ大きさの明朝体で
淡々とした感じを出したほうが、
金原氏の文体の冴えを感じさせたように思います。


また恐らく大人向けの絵本という意図なのか、
漢字にあまりフリガナをふっていないのも残念です。

小学生にも読めるように総ルビにしてほしかったです。

この絵本の美しさは、
小さくてもわかる人にはわかるはずです。


清川あさみ氏の作品、
これから注目していこうと思います。

2015年4月23日木曜日

【読了】Jake Ronaldson, The Gandhi Story (LS Level1)

やさしい英語の本、通算103冊目!は、

アイビーシーパブリッシング、
ラダーシリーズのレベル1(1,000語レベル)6冊目として、

英語学習者向けに
やさしい英語の本を執筆されている
ジェイク・ロナルドソン氏による

インド独立の父
マハトマ・ガンジー(1869.10-1948.1)の伝記を読みました。


Jake Ronaldson
The Gandhi Story

〔Ladder Series Level1〕
IBC Publishing,Inc. 2010年10月
8,190語


ガンジーについて
インドの偉人という以上のことは
何も知らないまま生きてきました。

そういえば、
どんな人だったのだろうと思い手にした1冊です。

ガンジーの生涯について
コンパクトにわかりやすくまとめてあり、
たいへん勉強になりました。

インドの地名、人名などは多少苦労しましたが、
短めの文が多く、文法的にもやさしく書かれていたので、
難なく読み通すことができました。


日本のお坊さんのような姿の写真しか知らなかったので、
インドで一生を過ごした人のように思い込んでいましたが、

インドで生まれ育ったのち、
19歳でロンドンに留学して弁護士の資格を取り

南アフリカで弁護士として開業し、
24歳から46歳までアフリカで過ごしていたとは初めて知りました。

この南アフリカで経験した
インド人に対する人種差別がきっかけとなって、
政治運動に足を踏み入れることになったそうです。


46歳でインドに戻ってから、
79歳で凶弾に倒れるまでの33年間は、

祖国インドの独立に向けた
さまざまな活動に捧げられ、

ガンジーが亡くなる前年、
1947年にインドの独立が達成されました。


しかしこの時、イギリス領インド帝国が、
そのまま現在のインドとして独立したわけではなく、

帝国内の多数をしめる
ヒンズー教徒とイスラム教徒の居住地域をわけ、

イギリス領インド帝国
 ・ヒンズー教徒→インド連邦
 ・イスラム教徒→パキスタン

と2箇所に分離独立させる政策が取られました。

この時わずかな準備期間しか置かれなかったため、
国内に大混乱をまねき、

多数の難民が発生し、各地で暴動、虐殺がおき、
100万人をこえる死者が出たといわれています。

一生をかけた大きな理想が叶う瞬間に、
大きな悲劇が待ち受けていたわけです。


印パ分離独立に、
ガンジーは反対していたようですが、

分離しなければ国内に、
ヒンズー教徒とイスラム教徒の対立を
かかえたままでの独立となったわけなので、

どこかに正解があったのか
軽々しく言えない問題だと思いました。

一つ一つ取り上げると
疑問に思うところもあるのですが、

彼の言動が、
数多くのインド人の心をとらえたことも事実なので、
もう少し深くガンジーについて知りたいと思いました。


  ***

ガンジーはイギリスで勉強し、
弁護士の資格をとっていたからか、
自身の著作もたくさん出ています。

そちらは今後の楽しみに取っておくことにして、
日本語で読めるガンジーの伝記で手頃なものはないか
探してみました。

正直なところまだお薦めの1冊には出会っていません。

最初の1冊として、

ガンジー (1969年) (センチュリーブックス―人と思想〈28〉)

坂本徳松(さかもととくまつ)著
『ガンジー 人と思想28』
(清水書院 Century Books、1969年9月)

を手に入れてみました。

大学の先生による丁寧な伝記ですが、
途中でヘーゲルやマルクスが出てきたりして、
全体的な物の見方が一時代前のものであり、
個々の事実も雑然とした感じがあって読むのを止めてしまいました。


次に注目したのは、
『インド独立史』『ヒンドゥー教』(共に中公新書)の著書もある
森本達雄氏による1冊です。


森本達雄著
『ヒンドゥー教の世界(下)―ガンディーの生涯と思想』
(NHK出版〔NHK宗教の時間〕、2011年9月)

 ※上巻は『ヒンドゥー教の世界(上)―その歴史と教え』(2011年3月)。
   一緒に読めば理解は深まるが、ガンジーの伝記とは直接関係がない。

そろそろ届くのでまだ読んでいませんが、
森本氏には、

K.クリパラーニ著
『ガンディーの生涯(上・下)』
(第三文明社〔レグルス文庫〕、1983年1月)

B.R.ナンダ著
『ガンディー―インド独立への道』
(第三文明社、2011年1月)

などガンディーの伝記の翻訳もあるので、期待しています。


※通算103冊目。計822,338語。

※Wikipediaの「マハトマ・ガンディー」「インド・パキスタン分離独立」を参照。

2015年4月6日月曜日

【読了】Nathaniel Hawthorne, The Great Stone Face (LS Level1)

やさしい英語の本、通算102冊目!は、

アイビーシーパブリッシング、
ラダーシリーズのレベル1(1,000語レベル)5冊目として、

アメリカ合衆国の小説家
ナサニエル・ホーソーン(1804.7-1864.5)の
短編小説『大いなる岩の顔』を読みました。

著者45歳の時(1949.12-50.1)に発表された作品です。
※坂下昇編訳『ホーソーン短篇小説集』(岩波文庫、1993年7月)343頁の訳注を参照。


Nathaniel Hawthorne
The Great Stone Face

〔Ladder Series Level1〕
IBC Publishing,Inc. 2005年8月
5,230語


全然知らない作品だったのですが、

あの『緋文字』の作者ホーソーンの短編
ということで興味をもち読んでみることにしました。

2013年12月(1年4ヶ月前)に、
やさしい英語で『緋文字』を読んで以来のホーソーンです。

あれから『緋文字』の全訳に挑戦しましたが、
はじめの長大な序文にうんざりして投げ出してしまい、
しばらく遠ざかっていました。

今回短編はどんなかしらと手に取ってみました。

「人間の顔に似た巨大な岩」にまつわる興味深いお話です。

優れた人物、立派な人物とはどんな人なのかについて
考えさせられるお話ですが、

わりと先が読めるところがあって、
その予想通りに話は進んでいきました。

それでも、
ホーソーンの原文を尊重したからなのか、
1000語レベルのわりには文の構造がわかりにくく、
読みづらさを感じました。

これだけだとまだ、
さほど魅力のあるお話には思えなかったのですが、

全訳で読めばまた違ってくるかもしれません。


  ***

翻訳はまず一番手に入れやすそうな岩波文庫で、
坂下昇(さかしたのぼる)編訳の短編集を手に入れました。


坂下昇編訳
『ホーソーン短篇小説集』
(岩波文庫、1993年7月)
 ※「大いなる岩の顔」ほか計13作の短編を収録。

情報量の多い、凝った作りの短編集です。
書誌的な情報が詳しいので便利なのですが、

肝心の訳文が、
すべての英単語を日本語に置き換えた感じの
妙な日本語になっていてかなり読みにくかったです。

日本語の小説としてみると、
推敲前の原稿を読まされているようだったので、
途中で読むのをやめました。


もう1冊、
竹村和子氏の翻訳を手に入れてみました。
凝った装丁で知られる文学全集《バベルの図書館》の1冊に収められています。

人面の大岩 (バベルの図書館 3)

酒本雅之・竹村和子翻訳
ホルヘ・ルイス・ボルヘス編纂
ナサニエル・ホーソーン著
『バベルの図書館 人面の大岩』
(国書刊行会、1988年3月)

《バベルの図書館》とは、
アルゼンチン生まれの小説家
ホルヘ・ルイス・ボルヘス(1899.8-1986.6)編纂による
世界文学全集のことです。

そのうちの1巻にホーソーンの短編集があり、
この中に「人面の大岩」が収録されています。

《バベルの図書館》の日本語版は、
国書刊行会から全30巻で刊行されましたが(1988-1992)、

最近改めて、国別に再編集された
《新編バベルの図書館》が全6巻で刊行され(2012-13)、
その第1巻にも本作品は収められています。

まだこれから読むところですが、
ざっと見た限りでは竹村訳のほうがずっと読みやすそうです。

読了次第また報告します。


※通算102冊目。計803,497語。

※Wikipediaの「ナサニエル・ホーソーン」を参照。