2014年4月28日月曜日

【読了】ロフティング著〔河合祥一郎訳〕『ドリトル先生アフリカへ行く』(角川つばさ文庫)

イギリスで生まれ、アメリアで活躍した作家
ヒュー・ロフティング(1886.1-1947.9)の

ドリトル先生シリーズ第1作、
『ドリトル先生アフリカへ行く』を読みました。

ロフティング34歳の時(1920)に出版された作品です。


ヒュー・ロフティング著
河合祥一郎訳
『新訳 ドリトル先生アフリカへ行く』
(角川つばさ文庫、平成23年5月)


井伏鱒二(いぶせますじ)氏の翻訳で有名な
ドリトル先生のシリーズは、

小学生の時に読む機会がなかったからか、
気になりつつも読まないまま今に至りました。


井伏鱒二訳
『ドリトル先生アフリカゆき』
(岩波文庫、改版、昭和36年9月。新版、平成12年6月)


数年前から、
河合祥一郎(かわいしょういちろう)氏による新訳が
角川つばさ文庫から出はじめて、
気になっておりました。

先日、河合氏の訳で、
『ロミオとジュリエット』を読んだばかりですので、

その勢いに乗って、
ドリトル先生シリーズの最初の1冊を読んでみることにしました。


実際に読んでみると、

穏やかでほのぼのとした雰囲気のドリトル先生が、

さまざまな動物たちとおしゃべりしながら、
さまざまな問題を解決していくといった感じのお話で、

それなりに楽しく読み進めることができました。


寝る前に、
父親が子供さんに向けて話すお話、
といった趣きでしょうか。

おそらく小中学生くらいの時に読んでいたら、
もっと本格的にはまっていたと思いますが、

今読んでもそれなりに楽しめますので、
1冊ずつ読み進めてみようと思います。


なおドリトル先生シリーズの手引として、
おもしろそうな1冊を発見。


南條竹則(なんじょうたけのり)著
『ドリトル先生の英国』
(文集新書、平成12年10月)

 ※同書を大幅に増補改訂した
  『ドリトル先生の世界』
  (国書刊行会、平成23年9月)も出版されている。

まだ手元に届いていないので、
読んだらまた報告します。


※Wikipediaの「ヒュー・ロフティング」「ドリトル先生シリーズ」「ドリトル先生アフリカゆき」「河合祥一郎」の各項目を参照。

2014年4月25日金曜日

【読了】John Escott, Agatha Christie, Woman of Mystery (OBW Stage2)

やさしい英語の本、通算71冊目、
Oxford Bookworms の Stage2(700語レベル)の4冊目は、

このシリーズの編者の一人である
ジョン・エスコット氏が書き下ろした

イギリスの推理作家
アガサ・クリスティ(1890.9-1976.1)の伝記を読みました。


John Escott
Agatha Christie, Woman of Mystery

(Oxford Bookworms Stage2)
This edition (c)Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookworms 1997
5,955語


1908年冬に
初めての長編小説に取り組むあたりからはじまり、

恋愛、結婚を経て、
初めての推理小説が出版にこぎつけるまで、
謎の失踪事件、離婚、再婚などもりだくさんな内容を、

コンパクトにわかりやすくまとめてありました。


実はまだ1冊も、
アガサ・クリスティの小説を読んだことがありません。

名前は前から知っていて、
それなりに興味はあるのですが、

読もう読もうと思いながら、
時間があると他の小説を選んでしまい、
なかなか推理小説に手が伸びないでいました。


推理小説の長編だけで66作もあるので、
全部読むのは難しいかもしれませんが、

この機会に面白そうなものをまず1冊、
手にして読んでみようかと思っています。

名前だけは知っている
 『オリエント急行の殺人』
 『ABC殺人事件』
 『そして誰もいなくなった』
あたりを近々買ってきます。


クリスティについて調べていて
一つ興味深かったのは、

メアリ・ウェストマコットの筆名で、
純小説を6冊書いているということで、

そちらの方が、今の自分には面白そうでもありました。


※通算71冊目。計561,997語。

※Wikipediaの「アガサ・クリスティ」の項目を参照。

2014年4月19日土曜日

【読了】Jennifer Bassett, William Shakespeare, (OBW Stage2)

やさしい英語の本、通算70冊目、
Oxford Bookworms の Stage2(700語レベル)の3冊目は、

このシリーズの編集者の一人でもある
ジェニファー・バセット氏が執筆した

イングランドの劇作家
ウィリアム・シェイクスピア(1564.4-1616.4)の伝記を読みました。


Jennifer Bassett
William Shakespeare

(Oxford Bookworms Stage2)
This edition (c)Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookworms1993
9,135語


初学者向けの
シェイクスピアのやさしい伝記です。

少年時代から始めて、
結婚して、ロンドンに出て舞台役者になって、
しだいに劇作家として頭角を現すまでの過程、

その後の活躍の様子から、
ペストの影響、子供の死、
自らの衰えを自覚し、引退して死ぬまでの過程が、

コンパクトに手際よくまとめられていました。


シェイクスピアについて何も知らない
40代の日本の大人が読んでちょうどよい内容でした。

シェイクスピアは、
作家である前に役者だったんだな、
という当たり前の事実を確認でき、

彼の作品をいろいろ読んでみたいと思うようになりました。


ところどころ
シェイクスピアの著作からの引用があって、
400年も前の英文はわからんな、と思っていたところ、

巻末に現代のやさしい英語へ翻案してありました。


簡単な内容ですが、
日本ではまず見かけない視点から書かれているので、
お薦めです。


※通算70冊目。計556,042語。

2014年4月18日金曜日

【読了】シェイクスピア著〔河合祥一郎訳〕『新訳 ロミオとジュリエット』(角川文庫)

先にやさしい英語で読んだのを受けて、
完訳で、

イングランドの劇作家
ウィリアム・シェイクスピア(1564.4-1616.4)の
戯曲『ロミオとジュリエット』を読みました。

シェイクスピア33歳の時(1597年)に出版された作品です。


ウィリアム・シェイクスピア著
河合祥一郎 訳
『新訳 ロミオとジュリエット』
(角川文庫、平成17年6月)

 ※この翻訳は、
  鴻上尚史(こうかみしょうじ 1958.8-)氏が演出した
  公演のために訳し下ろした上演台本をもとにしており、

  この翻訳にもとづく初演は、

  平成16年1月15日-2月 7日 東京グローブ座改装披露記念公演
      2月21日-2月25日 NHK大阪ホールでの公演

  に行われています(本書177頁および巻末参照)。


はじめは
小田島雄志(おだしまゆうし 1930.12- )氏か、
松岡和子(まつおかかずこ 1942.4- )氏の翻訳で読もうと思っていたのですが、


小田嶋雄志訳
『シェイクスピア全集(10)ロミオとジュリエット』
(白水∪ブックス10、昭和58年1月)


松岡和子訳
『シェイクスピア全集(2)ロミオとジュリエット』
(ちくま文庫、平成8年4月)


実際に朗読してみた時の歯切れの良さで、
河合祥一郎(かわいしょういちろう 1960.7-)氏の翻訳で読むことにしました。

河合氏44歳の時(2005.6)に出版されています。

前年の公演時の台本にもとづいている点、
現代の感覚とのずれが一番少ないように感じられました。

400年前に書かれた舞台の台本ですが、
興味深く、全体を読み通すことができました。


もとは演劇ですので、
舞台に接するのが一番だとは思いますが、

名古屋近郊に住んでふつうに働いている身では、
日本語訳で優れた舞台に接する機会はめったにありませんので、

まずは他の翻訳も手に取りながら、
シェイクスピアをより身近に感じられればと思っています。


一点興味深かったのが、

鴻上尚史氏が
イギリスの演劇学校に留学した際の体験談です。

イギリス人にとっても、
シェイクスピアを読むのは難しく、

日本人が古文を読むのと
同じような難しさがあることを指摘されていました(巻末解説)。

400年前の英語ですので、
当然のことかもしれませんが、
言われて改めて納得しました。

2014年4月16日水曜日

【読了】モンゴメリー著(掛川恭子訳)『赤毛のアン』

カナダの作家
ルーシー・モード・モンゴメリー(1874.11-1942.4)の
小説『赤毛のアン(原題 Anne of Green Gables グリーン・ゲイブルズのアン)』を読みました。

モンゴメリーが
30歳の時(1905.10)に完成し、
33歳の時(1908.6)に出版された作品です。


ルーシー・モード・モンゴメリー著
掛川恭子(かけがわやすこ)訳
『完訳 赤毛のアン シリーズ1 赤毛のアン』
(講談社、平成2年5月)

 ※『完訳クラシック 赤毛のアン1 赤毛のアン』
  (講談社、平成11年5月)に再録。
 ※『完訳クラシック 赤毛のアン1 赤毛のアン』
  (講談社文庫、平成17年4月)に再録。

 ※最初の単行本にのみ、
  巻末に訳者 掛川恭子氏による
  あとがき「美しいアンの島」を付す。


先月やさしい英語で読んだのをきっかけに、

久しぶりに掛川恭子氏(かけがわやすこ 1936.1-)の翻訳で、
『赤毛のアン』を読み返してみました。

以前は講談社文庫で読んだので、
少し目先を変えて初出時の単行本を手に入れてみました。

講談社文庫の網中いづる氏(あみなかいづる 1968-)による
色鮮やかな油彩の表紙も好印象だったのですが、

初出時の単行本も、
山本容子氏(やまもとようこ 1952.4-)による
銅版画を表紙と挿絵に採用し、強い印象が残ります。

山本氏の絵柄は、
子どもさんの誰がみても親しみやすいアンというよりは、
あくまでも山本氏のフィルターを通してみた、
山本氏独自のアンになっているので、

大人向けの独特の味わいがありました。

正直なところ、
読み始めてしばらくはこれじゃない感がありましたが、
1冊読み終えて山本氏の画風に馴染んでくると、

独特のユーモラスな感じが、
いい味わいを出していると思えて来ました。


 ***

掛川氏の訳は、
文庫本で読んだ時にも感じていたのですが、
現代の日本語としてすらすら読めるように訳してあり、

アンの明るい個性的なキャラクターに魅せられながら、
どんどん読み進めることができました。

違和感なく作品に入り込んでいける点では、
一番のお薦めです。


今回は二度目ということもあって、
改めて、モンゴメリーの自然描写の豊かさに気がつきました。

プリンスエドワード島の美しい自然の様子が
これでもかこれでもかと描写されてあって、

絵画的な自然描写の豊かさでも、
群を抜いているように感じました。


この勢いに乗って、
第2巻『アンの青春』へと進みます。

2014年4月4日金曜日

【読了】William Shakespeare, Romeo and Juliet (OBW Stage2)

やさしい英語の本、通算69冊目、
Oxford Bookworms の Stage2(700語レベル)の2冊目は、

イングランド王国の劇作家
ウィリアム・シェイクスピア(1564.4-1616.4)の
戯曲『ロミオとジュリエット』を読みました。

シェイクスピア33歳の時(1597年)に出版された作品です。


William Shakespeare
Romeo and Juliet

Retold by Alistair McCallum
(Oxford Bookworms Stage2)
This simplified edition (c)Oxford University Press 2008
First published in Oxford Bookworms1999
6,306語

『ロミオとジュリエット』は、
まず翻訳でと思っていくつか手に入れていたのですが、

そちらを読了する前に、
やさしい英語で読むことになりました。

台本のかたちで、
大まかなあら筋をおさえつつ
ごく簡単にまとめられてあり、

楽しみながら数日で読み終えることができました。

題名はよく知っていましたが、
舞台はもとより、映画や漫画などでも全体をみる機会がなかったので、

簡単にあら筋がつかめたのは助かりました。

400年以上前に書かれた作品なので、
原書のままで楽しめるようになるのは難しいかもしれませんが、

翻訳も頼りにしつつ、
少しずつ原書に近づいて行きたいと思っています。


翻訳は網羅すれば相当数になるので、
ざっと目に入ったものだけ上げておきます。

いくつか手に取った上で
一番読みやすく感じたのは、
小田島雄志(おだしまゆうし)氏の翻訳でした。


小田嶋雄志訳
『シェイクスピア全集(10)ロミオとジュリエット』
(白水∪ブックス10、昭和58年1月)

まだ読み終えていないので、
この機会に読み通しておきたいと思っています。

その他気になっているものを上げておきます。

中野好夫訳
『ロミオとジュリエット』
(新潮文庫、昭和26年。改版、平成8年12月)

福田恆存訳
『シェイクスピア全集3 ロミオとジュリエット』
(新潮社、昭和39年6月)
 ※『新潮世界文学1 シェイクスピアⅠ』
  (新潮社、昭和43年2月)に再録。
 ※『世界の文学セレクション36 シェイクスピアⅡ』
  (中央公論社、平成6年8月)に再録。

平井正穂訳
『ロミオとジューリエット』
(岩波文庫、昭和63年2月)
 ※初出は『愛蔵版 世界文学全集4』集英社、昭和48年2月。

松岡和子訳
『シェイクスピア全集(2)ロミオとジュリエット』
(ちくま文庫、平成8年4月)

河合祥一郎訳
『新訳 ロミオとジュリエット』
(角川文庫、平成17年6月)

石ヶ守諭邦訳
『ロミオとジュリエット』
(文芸社、平成22年1月)

※通算69冊目。計546,907語。

2014年4月3日木曜日

【読了】ディケンズ著(中川敏訳)『クリスマス・キャロル』〔集英社文庫〕

イギリスの作家
チャールズ・ディケンズ(1812.2-1870.6)の
小説『クリスマス・キャロル』を読みました。

ディケンズ31歳の時(1843.12)に出版された作品です。

少し時期を外れるようですが、
実際はクリスマスの後から、少しずつ読み進めていました。


チャールズ・ディケンズ著
中川敏(なかがわさとし)訳
『クリスマス・キャロル』
(集英社文庫、平成3年11月。改訂、平成18年11月)
 ※初出は『愛蔵版 世界文学全集15』集英社、昭和50年10月。

1年ちょっと前(2013年1月)に、
木村由利子氏の編訳で読んでから、
次は完訳でと思い、

いくつか手に取った後で落ち着いたのは、
中川敏(なかがわさとし)氏の翻訳でした。

正直なところ、
少し古い英語の言い回しは、
日本語に直すとどうしても違和感が残るのですが、

完訳で、
どこも良くわかるように訳しながら、
現代の日本語としての流れを切らない、
スピード感のある訳文になっていて読みやすかったです。


手に入れた翻訳は以下のとおりです。

村山英太郎(むらやまえいたろう)訳
『クリスマス・キャロル』
(岩波少年文庫、昭和25年12月。改版、昭和42年12月)

村岡花子(むらおかはなこ)訳
『クリスマス・カロル』
(新潮文庫、昭和27年11月。改版、昭和63年7月)

村岡花子訳(村岡美枝・村岡恵理改訂)
『クリスマス・キャロル』
(新潮文庫、平成23年11月)

夏目道子(なつめみちこ)訳
『クリスマス・キャロル』
(フォア文庫、平成3年11月)

小池滋(こいけしげる)訳
「クリスマス・キャロル」
(小池滋・松村昌家訳『クリスマス・ブックス』ちくま文庫、平成3年11月所収)

伊藤廣里(いとうひろさと)訳
『クリスマス・キャロル』
(近代文芸社、平成8年12月)


脇明子(わきあきこ)訳
『クリスマス・キャロル』
(岩波少年文庫、平成13年12月)

池央耿(いけひろあき)訳
『クリスマス・キャロル』
(光文社古典新訳文庫、平成18年11月)


木村由利子(きむらゆりこ)訳
『クリスマス・キャロル』
(集英社みらい文庫、平成23年1月)


このうち一番読みやすいのは、
木村由利子氏の翻訳ですが、
子供向けに難しい表現を多少簡単にしています。

まだ読んでいなくて気になっているのは
脇明子氏の翻訳です。

少し時間を置いてから、また読んでみようと思っています。