2013年9月29日日曜日

【読了】Jonathan Swift,Gulliver's Travels (PR Level2)

やさしい英語の本、通算52冊目、
Penguin Readers の Level2の11冊目は、

アイルランド生まれの小説家、
ジョナサン・スウィフト(1667.11-1745.10)の
風刺小説『ガリヴァー旅行記』を読みました。

スウィフト58歳の時(1726.10)に出版された作品です。


Jhonathan Swift
Gulliver's Travels

Retold by Pauline Francis
(Penguin Readers Level2)

First published by Penguin Books 2000
This edition published 2008
9,681語


先月、
デフォーの『ロビンソン漂流記』を読んでいた時、

同書が出版された7年後(1719→1726)に、
スウィフトの『ガリヴァー旅行記』が出版されていたことに気がつき、

何か似たところがあるのかな、
と思って読んでみることにしました。


その結果、
当然まったく違った作品だったのですが、

冒険物というよりは、
当時の世相への風刺に主眼が置かれた小説として、
独特の面白みがあることは了解できました。

全体は、
 第1篇 リリパット(小人国)への航海
 第2篇 ブロブディンナグ(大人国)への航海
 第3篇 ラピュータ、バルニバービ、ラグナグ、グラブダブドリッブ、
      および日本への航海
 第4篇 フウイヌム国(馬の国)への航海
の4篇から成りますが(坂井晴彦訳 福音館文庫本を参照)、
このリトールド版は第3篇を省略してあります。


邦訳は読んだことがなかったので、
いくつか完訳版を手にしてみると、

物語のアイデアは独創的なのですが、
叙述はそれほど起伏に富むわけではないので、

訳文の流れがいまいちだと、
眠たくなって途中で投げ出すことになりそうでした。

まだ見落としているのもあるでしょうが、


坂井晴彦訳
『ガリヴァー旅行記(上・下)』
(福音館文庫、平成18年1月。初出〔単行本〕は福音館書店、昭和63年1月)

の訳文はたいへん読みやすく、
しっくり来たので、ただ読んでいるところです。
読了しだい報告します。


※通算52冊目。計422,258語。

※Wikipedia の「ジョナサン・スウィフト」「ガリヴァー旅行記」を参照。

2013年9月23日月曜日

【読了】吉川英治著『宮本武蔵(六)』(新潮文庫)

吉川英治(明治25年〔1892〕8月-昭和37年〔1962〕9月)が、

43歳の時(1935)から4年の歳月をかけて執筆した
『宮本武蔵』を新潮文庫で読み進めておりますが、
ようやく第6巻を読み終えました。


吉川英治著
『宮本武蔵(六)』
(新潮文庫、平成25年7月)
 ※全編の初出は
  『朝日新聞』昭和10年(1935)8月23日から
   昭和14年(1939)7月11日まで。

ここに来て、
多少趣きが変わったというか、

ほとばしる激情をぶつけ、
戦いを至上のものとして生きることへの、

一定の限界を感じたあとに、

人はどのように成熟していけば良いのかを、
試行錯誤していく段階に来たように思いました。

そんな難しいことを、
誰にでもわかりやすい国民文学に昇華させて、
表現することが可能であったことに驚きました。

むしろこの、
人生の後半に向けて、
どのように生き切るべきなのかを描くためにこそ、
吉川氏は「宮本武蔵」を選んだのかもと思いました。

まだあと2冊を残しておりますが、
飽きるよりはむしろ、高まる期待に胸おどらせる
読書の秋を過ごしております。

2013年9月19日木曜日

【読了】夏目漱石 著『趣味の遺伝』(明治39年1月)

夏目漱石(慶応3〔1867〕-大正5〔1916〕)の8作目は、
短編小説『趣味の遺伝(しゅみのいでん)』を読みました。

漱石全集〈第2巻〉短篇小説集 (1966年)

夏目漱石「趣味の遺傳 ―明治三九、一、一〇 ―」
(『漱石全集 第二巻 短篇小説集』岩波書店、昭和41年1月)

「趣味の遺伝」は、
雑誌『帝国文学』明治39年〔1906〕1月号に発表され、

漱石初の短編集『漾虚集(ようきょしゅう)』
(大倉書店・服部書店、明治39年5月刊)に収録されました。


『吾輩は猫である』と
ほぼ同時期、39歳の時に書かれた作品です。


  ***

これは作品として多少不完全というか、
まとまりに欠ける所があるのですが、

部分部分で面白味があって、
意外に楽しみながら読み終えることが出来ました。


明治38年〔1905〕に激戦の末
勝利した日露戦争で戦死した友人について回想する、
という趣向で、

友人が恋していたらしい娘と、
残された母親、

戦争万歳でも、反対でもない、
漱石の冷めた視点がからんで、

部分部分に読ませる文章の力を感じました。


  ***


漱石初の短篇集『漾虚集』に収録された七つの作品は、
これで終わりです。

正直なところ私にとって、
今後も繰り返し読みたいと思わせる名作揃い、
とはお世辞にも言えなかったのですが、

あの漱石ですら、
デビューすると同時に、
小説家として完成されていたわけでないことを知られたのは
一番の収穫でした。

長編『吾輩は猫である』と短編集『漾虚集』によって、
漱石の小説家としての土台が確立した、

と言って良いのかは、
この続きをもう少し読み進めてから判断したいと思います。

2013年9月17日火曜日

【読了】Robert Louis Stevenson, Kidnapped (PR Level2)

やさしい英語の本、通算51冊目、
Penguin Readers の Level2の10冊目は、

スコットランド生まれの小説家
ロバート・ルイス・スティーヴンソン(1850.11-1894.12)の

冒険小説『誘拐されて』を読みました。

1883年に『宝島』が出版された3年後、
スティーヴンソンが35歳の時(1886)に出版された作品です。


Robert Louis Stevenson
Kidnapped

Retold by John Escott
(Penguin Readers Level2)

First published by Penguin Books 2000
This edition published 2008
9,104語

インターネットで、
ペンギン・リーダーズの目録をみているときに、
偶然目についたのが本書でした。

『宝島』のスティーヴンソンに、
こんな作品があるのかと思って邦訳を探してみると、

大場正史訳
『誘拐されて』
(角川文庫、昭和28年)


坂井晴彦訳
『さらわれたデービッド』
(福音館書店、福音館古典童話シリーズ、昭和47年4月)

とあるのが本作に当たるようでした。

大場訳は、古書で高値がついていたので、
今も現役の坂井訳を購入してみました。

まだ読んでいる途中ですが、
坂井氏のよくこなれた日本語で、

どこも滞ることなく読み進められるので、
とりあえず邦訳をと思われる方にはオススメです。


リトールド版だと場面がいきなり飛んで、
前後のつながりがわかりにくくなる所も多少ありましたが、
大まかなあらすじはつかむことができました。

『宝島』の執筆から3年しか経っていないからか、
主人公の性格が似た感じで、

『宝島』と同じ主人公が、
別の冒険へと旅だつような趣向で、
それなりに楽しむことができました。

どちらか一冊選べと言われれば、
断然『宝島』のほうが好きですが、

スティーヴンソンに惚れ込んで、
もう一冊似たのが読みたい場合には、
十分に満足できると思います。

一番の欠点は『誘拐されて(Kidnapped)』という書名でしょうか。

「誘拐」の二文字をみて、
冒険物好きな読者が手に取ろうと思うのか、
疑問があります。

それこそ『デービッドの冒険』などと意訳したら、
より多くの読者を得られる作品のように思います。


※通算51冊目。計412,577語

※Wikipedia の「ロバート・ルイス・スティーヴンソン」

2013年9月2日月曜日

【読了】夏目漱石 『薤露行』(明治38年11月)

夏目漱石(慶応3〔1867〕-大正5〔1916〕)の7作目は、
短編小説『薤露行(かいろこう)』を読みました。

漱石全集〈第2巻〉短篇小説集 (1966年)

夏目漱石「薤露行 ―明治三八、一一、一 ―」
(『漱石全集 第二巻 短篇小説集』岩波書店、昭和41年1月)

『薤露行(かいろこう)』は、
雑誌『中央公論』明治38年〔1905〕11月号に発表され、

漱石初の短編集『漾虚集(ようきょしゅう)』
(大倉書店・服部書店、明治39年5月刊)に収録されました。

『吾輩は猫である』と
ほぼ同時期、30代後半に書かれた作品です。


  ***

続けてもう1編。
これはアーサー王伝説を主題とした作品です。

ただし、
この時期の翻訳物の難解さを反映しているようで、
独特の美文調の言い回しがかえってまわりくどく、

今の私の国語力では追いつかない部分も少なくなく、
あまり楽しむことはできませんでした。

部分部分を切り取って朗読してみると、
それなりに心地よい感じはするのですが、

今敢えて、これだけ読みにくい文章で、
アーサー王伝説を読む必要があるのか疑問が残りました。


これもやはり、漱石初期の、
時代を反映した習作の一つのように感じました。

【読了】夏目漱石 「一夜」(明治38年9月)

夏目漱石(慶応3〔1867〕-大正5〔1916〕)の6作目は、
短編小説『一夜(いちや)』を読みました。

漱石全集〈第2巻〉短篇小説集 (1966年)

夏目漱石「一夜 ―明治三八、九、一 ―」
(『漱石全集 第二巻 短篇小説集』岩波書店、昭和41年1月)

『一夜(いちや)』は、
雑誌『中央公論』明治38年〔1905〕9月号に発表され、

漱石初の短編集『漾虚集(ようきょしゅう)』
(大倉書店・服部書店、明治39年5月刊)に収録されました。

『吾輩は猫である』と
ほぼ同時期、30代後半に書かれた作品です。


  ***

前にアップしてから、
7ヶ月以上過ぎてしまいました。

花粉の時期と
忙しい時期が重なったからでもありますが、

漱石初期の短編集、
最初の数編は、私にとってあまり面白くなかったことも確かです。

前の記憶が消えたころ、
また1編読んでみることにしました。


  ***

短編「一夜」を読んだのは、今回が初めてです。

男二人、女一人の何気ない一夜の様子が切り取ってある、
といえば何だか興味がそそられますが、

もってまわった美文調でまわりくどく、

また国、時代、身分などがうやむやなままで
とりとめのない感じがして、

私はあまり楽しむことができませんでした。


学会でどんな位置づけがされているのかわかりませんが、
私には初期の習作の一つのように感じました。


※Wikipediaの「夏目漱石」を参照。