2011年12月5日月曜日

【読了】岡崎久彦 『陸奥宗光とその時代』

ドナルド・キーンさんの
『明治天皇』を読み終わり、

久しぶりに、
岡崎久彦さんの日本外交史5部作を
じっくり読み返したくなりました。

高校生の時に、
渡部昇一さんと谷沢永一さんが、
『陸奥宗光(上・下)』の評伝を紹介しているのを読んだのが、
岡崎久彦さんを知ったはじめでした。

同書をもとに、よりコンパクトに書き直されたのが、



岡崎久彦『陸奥宗光とその時代』
(PHP文庫、平成15年3月。初出は平成11年10月)


です。コンパクトとはいっても、
文庫本で600頁をこえる大作なので、
読みはじめるのに少し気合いがいりますが、
表現がとてもこなれており、読みやすく、
ひと月かからず、あっという間に読み終えていました。

当たり前のことかもしれませんが、
こうして読み返してみると、キーンさんのより遥かに面白いです。

また、読者として中高生が想定されているのか、
文庫版では、ほぼ総ルビになっていることも、
たいへんありがたいです。

大人であろうと、知らない人名は、
ルビをふってもらわないと読めません。

感想を書けるほどのことを私は知りませんが、
以前に読んだ時よりも、
内容に合点のいくところが多かったのは、
これまでの多少の勉強の成果かもしれません。


陸奥宗光の、驚くほどの頭の冴えと、
それゆえの挫折の数々。

でもそうした陸奥の天才を
政治家として活かしうる
伊藤博文の懐の深さ。

この二人が、
自由社会を擁護する英米の地政学的立場をよく理解し、
絶妙なバランスで、日本を導き得たことは、
誠に日本にとって幸運だったと思います。

今の時代を生きる我々は、
何をどうしたら良いのか、色々考えさせられる本です。

次は日露戦争の時代、
『小村寿太郎とその時代』に進みます。

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