2011年6月23日木曜日

スマイルズ『向上心』第2章(前半)



サミュエル・スマイルズ(Samuel Smiles)著、竹内均 訳、
『向上心(CHARACTER)』
(三笠書房、知的生きかた文庫、2011年6月改訂新版)より。
※印は栗木によるコメントです。

第2章 個性を磨く

人格というものは、
 この世の中でもっとも大きな人を動かす『原動力』の一つである。
 高潔な人格には、
 人としてあるべき理想の姿がある。
」34

※人格という視点は、
 今の学校では教えられなくなっているのではないでしょうか。

 あえて学校で教えなくとも、
 と考えているのかもしれませんが、
 少し寂しい気はします。

 ただし道徳と称して、
 ジェンダー・フリーなどの狂った思想を植えつけられるよりは、
 民間で、これを学べば、というものを
 体系だてて作り上げていったほうが、よいのかもしれません。


非凡な才能は常に賞賛翔の的となるが、
 何にもましてすぐれた人格は尊敬の念を集める。
 どちらかと言えば、
 前者は知力の産物であるが、
 後者は精神的な力に負うところが大きい。
 長い目で見ると、
 人生を左右するのはこの精神的力なのである。
」34

※社会に出て、
 長い目で見れば、
 今でもやはり、人生を左右するのは
 非凡な才能の力よりも、
 すぐれた人格の力によるのだと思います。

 ただしまず第一歩、
 社会に足を踏み出すときに、
 評価の対象とされるのは、
 外から見て、すぐにわかるものであることが多いです。

 人格が評価されるのには、
 ある程度、時間がかかります。


充実した人生をおくるために努力を惜しまず、
 どんな些細なできごとにも真心を持って、
 正しく誠実に謙虚さを失わずに生きることは、
 誰にでもできる。
」35

※確かに、わたしにもできる。
 そのために私は、
  努力を惜しまず、
  真心をもって、
  正しく誠実に、
  謙虚さを失わずに
 生きる日々を、
 心から楽しいと思えるようになりたい。


人生の中心は、
 ありふれた平凡な義務を果たすことにある。
 美徳の中でももっとも影響力があるのは、
 日常生活で必要とされる種類のものである。
 これらの美徳には何よりも値打ちがあり、
 永続性がある。
」36

※ありふれた日常に注目することは、
 若いうちにはなかなか難しいことかもしれませんが、

 さすがに四十が目前に迫ってくると、
 腑に落ちるところが多いです。

 日常の生活を充実させる中にこそ、
 よい人生のほとんどすべてがある、と思います。


知的教養は、
 人格の純粋さや立派さなどには必ずしも関係がない。
」37

※これは、どちらかといえば
 勉強ばかりして来た身にとっては、
 少し残酷な言葉なのですが、

 正しい考え方だと思います。


ほんのひと握りの信仰心は、
 山ほどの学問に匹敵する

(ジョージ・ハーバード)37

※信仰心は、
 どちらかといえば、今の日本で、
 猜疑心をもって見つめられていると思います。

 しかし冷静に考えれば、
 信仰心を何ももたない人生ほど、
 空虚なものはないのではないでしょうか。

 何も新興宗教に手を出す必要はないので、
 ご先祖さまに手を合わせる心は、

 人として忘れずにおきたいものです。


心を豊かに育てることに比べれば、
 他はみなとるに足りないと自覚しなければならない

(ウォルター・スコット)38

※確かに、
 心さえ豊かであれば、
 あとはどうにかなるもの。

 勉強をするのも、
 お金を稼ぐのも、
 仕事をするにも、
 自分の心を豊かにする側面があることを
 忘れてはならないと思います。


人格は財産である。
 しかもいちばん高尚なものだ。
 普遍的な善意と、
 人びとの尊敬に囲まれた自分だけの所有地である。
」39

※大人になって、
 人格という財産を、
 蓄える努力を忘れないようにしたい。

 一生勉強です。
 死ぬ直前まで、
 日々自分を少しずつ高めていく人生であれたらいいな。


世の中の人にもっとも効果的に働きかける点で、
 勤勉さ、善良さ、
 美徳などのすぐれた資質を持つ人物が
 誰にもまさるのは当然のことである。
」39

※勤勉な人、
 善良な人、
 すぐれた資質をもつ人を評価する社会であるといい。

 少し長い期間で考えれば、
 今でも何も変わらないと信じたい。


われわれは一人残らず金持ちや偉人になったり、
 高い教育を受けたりしなければならない必要はない。
 しかし、誰にでも誠実に生きる義務はあるのだ。

 (ベンジャミン・ルドヤード)40

※誠実に生きることは、
 私にもできる。

 よし、誠実に生きよう。

 そうした生き方は、
 子どものうちに身につけておきたい。
 親の責務として。


正直でなければ、
 つまり真心がなければ信用に値しない。
 この真心こそ、
 人びとの尊敬を集め、
 信用を得る要因なのである。
 真心は人間としてのあらゆるすばらしさの基礎である。
」42

※誠実であるとは、
 正直であること。
 他人に対してはもちろん、
 自分に対しても、正直であること。
 すなおな、きれいな心を持ちつづけること。

 結局それが一番楽な生き方だと思います。

 そんな人たちを、
 きちんと評価できる社会であるといいな。


人生で起こるさまざまなできごとや職業において、
 知性は人格ほど役に立たないし、
 頭脳は心ほど効果的には働かない。
 非凡な才能でも、
 自制心や忍耐、
 公平な判断に立脚した信念にはかなわない。
」43


個人の生活、
 あるいは社会での生活を円滑に送る手だてとしては、
 公平さに導かれた良識を身につけておくのがいちばん役に立つ。
 経験に育てられ、
 善意から発した良識は、
 実際的な知恵となって表われる。
」43


自分そのもの以上に自分を傷つけるものはない。
 ずっと耐え忍んできた欠点は身についてしまっている。
 自分の欠点に悩むこと以上に深刻な悩みは、
 この世にあり得ないだろう

 (ある聖職者)45


物質的にでなく精神的に豊かになり、
 世間的な名声でなく真の名誉を求め、
 学問をおさめるよりは徳のある人間になり、
 権力をかさに着て権威を振り回すのではなく、
 正直で誠実で高潔な人格を目標にしなければならない。
」46


常に自分を今以上に高めようとしない人間ほど貧しいものはない
 (十六世紀の詩人ダニエル)47


人格の根となる意志の力、茎である智恵-
 実際に役立つこの二つの力がある程度なければ、
 人生は曖昧模糊として、
 何のために生きているのかもわからない。
」47


人格者は良心的である。
 自分の良心に従って働き、
 話し、行動する。

 人格者はまた敬虔な心の持ち主でもある。
 この資質を備えた人は男女を問わず、
 きわめて気高く、
 そして崇高な人間像をつくる。

 彼らは、
 時代とともに引き継がれてきたさまざまなもの-
 高い理想、純粋な思想、
 高い目的、過去の偉大な人物、
 そして高潔な心を持って働く同じ現代に生きる人
 といったものを敬う気持ちを持っている。
」50

0 件のコメント:

コメントを投稿